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711 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/08(水) 04 37 41 テトリスのように湯船の真ん中に入る事にする。 幸い、体積的に入ることは不可能ではなさそうだ。 ……ただし、なんというか、その、身体を押しつけ合う事になりそうではある。 湯船の真ん中というのはどうかと考えるが、当然下には足があるだろう、踏みそうなのでうまく回避しなければならない。 まして三人ともかなりぐったりしている。 踏んでしまったらそれはもう大変なことになるだろう。 そーっと足を入る。 足同士が触れているのが分かるが、問題なく湯船に身体を沈め……られなかった。 沈めようとした尻の下に誰かの足がある。 それはそうか、ぶつからないように出来るだけ互い違いにするだろうし。 ……だとすると。 遠坂の方を向く。 隣にはイリヤが眠りそうな表情で浸かっている。 だとすれば残りは。 「あー、氷室、すまん」 氷室の隣に入ることだ。 腰は下ろしたが足は体育座りのように曲げたままだ。 多少窮屈だが仕方がない。 「ん……私は、構わん……」 本当にぐったりとしているのだろう、反応が妙に鈍い。 無言のまま数分が過ぎる。 「衛宮……少し頼みがある」 「ど、どうした?」 氷室が身体を押しつけて話しかける。 普段ならば絶対にあり得ない場面で思わず慌ててしまう。 「身体は温まったのだが、どうにもだるくてな……余り動けないと言うことだ」 話が見えてこない。 「それでな……背中だけでも洗って貰えると嬉しいのだが」 え? 「そ、それなら遠坂とかにやって貰った方がいいんじゃ」 「いや、遠坂嬢も同じような状態のようだし……まともに動けるのは衛宮だけのようだし……頼めるのは君くらいと言うことだ」 言葉もうまく発せないのか、氷室の口調は普段から少しだけ変わっていた。 そして普段の彼女ならばこういった考え方はしないのだと分かる、つまり余程大変な状態なのだろうと察するに余りある。 「しかし……なんでこんなに怠いのかな……」 「ふむ……少しやりすぎましたか」 他者封印・鮮血神殿、風呂場という無防備な極小空間で、彼女の宝具を発動させて吸収した。 勿論痕跡を残すような事はしない。 その辺りのことを彼女は分かっている。 彼女が今回吸い取ったのは精気や性欲の類だ。 それを一時的に思い切り露出させ、その部分を一気に吸い上げた。 しかし魔力の強い人間 遠坂 も居たため思わず吸い上げ過ぎてしまった、ここは反省するべき所だと自戒する。 「しかしシロウ、思ったよりも……ふふふ」 喉の奥に士郎の血を残したまま思わず笑みを浮かべる。 「あら? ライダー、どうしたの?」 「いえ、なんでもありません、それよりもサクラ、少しお話があるのですが……」 「ん? なに?」 「いえ、大したことではないのですが……部屋に行きましょう」 「あ、それじゃお茶とか用意するね、ライダーは部屋で待ってて」 風呂場の状況を、桜は気付かなかった。 「そ、それじゃあ、洗うぞ」 「ん……頼む」 氷室はそれだけ言うと、無言で前を洗い出す。 それと同時に、士郎も氷室の背中を洗い始める。 スポンジ越しではあったが、女性特有の柔らかさと同時に筋肉の張りの強さを感じる、しなやかな背中だった。 「……凄いんだな、氷室」 「どうした? 藪から棒に……」 「いや、無駄なく鍛えられてるなぁって思ってさ」 スポンジの泡で背中を泡だらけにしながら、背中越しの腹筋を感じ取る。 背中を指先で軽く突いてみれば、それ以上の強さで押し返すような、内包する強さを感じ取る。 「それなら蒔の身体を洗うと良いぞ、あれは私よりも鍛えて居るぞ」 もっとも、断られるとは思うが、と続ける。 「……ま、機会があったらな」 そんなことは多分無いと思うけど、と続ける。 「しかし、まるで同性と会話しているような気分だ、安心する」 「……それは褒めてるのか貶してるのかちょっと判断できないな」 「褒めている、私は男性として衛宮を意識しているからな」 途端に恥ずかしさが復活する。 背中に直接触れても感じなかったのに、その一言で復活してしまったようだ。 恥ずかしさに追われ、慌てて背中を洗う。 「……終わったぞ、氷室」 背中にお湯を掛ける。 頭からもと頼まれたので頭からも掛けた。 「ん、さっぱりした、ありがとう、衛宮」 気付けば、氷室は自力で動けるようになっていた。 沈没船セプテントリオン:「あ」大変だ、気付くとイリヤが沈みかけている 3倍のあかいやつ:「あらあら、随分と仲が良いのね」浴槽から遠坂が声を掛けた 反撃の狼煙:「では今度は私が洗ってやろう」なんて事を言われた 質問への回答:「どうだった?」風呂から出て、茶の間でキャスターに聞かれた
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一ノ瀬晴&セイバー ◆7DVSWG.5BE 「ホストクラブどうですか~」大通りには様々な人が忙しなく行きかう。そん な中若い男性が毛皮コートを着た声をかけるが、女性たちは男を一瞥した後に ゴミを見るような目を向け男から足早に去っていく。普通の男性ならそのよう な扱いを受ければ精神に多大なダメージを受けるが、その男は特に気にしない。 男にとってそのような扱いはチャメシインシデントだからだ。男はすぐ様に別 の女性に声をかける「ホストクラブどうですか~」彼の職業はホスト。そして ニュービーホストだ。ニュービーはキャッチと呼ばれる行為をしなければなら ない。 キャッチとは人の出入りが多いところでホストクラブに来るように誘うことで ある。ニュービーはかならずキャッチをやらなければならず、キャッチで成果 を上げることで初めて店内で働くことが許される。だが客を店に呼ぶことがで きなければ待っているのは暴力的制裁であり、最悪の場合はケジメだ。 現時点で男はまだキャッチを成功していない。しかもこの数日で客を呼べてお らず、このままではケジメは免れない。ケジメとは自主的に指を切断する行為。 ケジメによる痛みを想像してしまい身震いする。そんな時にふと頭にこの ような言葉が過る。「沢山撃つと実際当たりやすい」 誰が言ったかは忘れたが、その言葉が世界の真理のように思い始め、男はケジ メを避けるべく目につく女性を片っ端から声をかける方針に切り替える。その 時に男の視界に一人の女性が入ってきた。その女性、いや少女は黒髪のセミロ ングで上下のサイバージャージを着ている。その胸は平坦だった。 明らかにこの場所に似合わしくないアトモスフィアを醸し出しているが、男は 特に気にしない。「ホストどうですか~」一見親しげに話しかけているように見 えたが、明らかに何かしら良からぬ企みを持っていることが感じられ少女は不 快感を覚えた。 しかしそれを表情に出すのはシツレイであり、奥ゆかしくない。不快感を出さ ないように申し出を断ろうとする。「別にいいです……」しかし男は引き下がら ず、「そんなこといわずに、楽しいですよ!」「アタイ興味ないです」「一回騙さ れたと思って!」あまりにしつこさに少女はほんの少しだけ語気を強める。 「いいです」それを聞いた男はある出来事を思い出した。かつてあるヤクザク ランのグレーターヤクザに絡まれた。その時は失禁しながらドゲザをすること で難を逃れた。そしてあの時に悟ってしまった。ヤクザは絶対的強者であり、 今後は自分とヤクザの力関係は覆ることがないと。 しかし今目の前にいる少女からかつてのグレーターヤクザより数十倍危険なア トモスフィアを感じた。呆然自失している男をしり目に少女はその場を後にし た。少女の名前はヤモト・コキ。シ・ニンジャのソウルが憑依したニンジャで あり、そして今はセイバーのクラスのサーヴァントだ。 今ヤモト・コキはこの聖杯内で再現された東京の歌舞伎町に現界している。周 りを見渡すとネオン看板が、「金利が安い」「取り立て猶予長い」「みんな借りて いる」など欺瞞的な広告が怪しく輝く。そして先ほどのニュービーホスト以外 にも様々な呼び込みの声が聞こえる。 レズ、ゲイ、ホスト、キャバ嬢、ヤクザなど様々な職業、人種がごった返しで 入り乱れる猥雑な街、東京最大の娯楽街それが歌舞伎町。ヤモトはこの街のア トモスフィアに覚えがあった。そうニチョーム・ストリートだ。ニチョームと はネオサイタマにある特殊歓楽街である。 セクシャルマイノリティのニルヴァーナめいた街であり、この歌舞伎町以上に 猥雑な街。しかしヤモトはこのアトモスフィアはニチョームとは似て非なるも のであると気づく。耳を澄ませば、ぼったくりバー店員の客への恫喝、薬物売 人の密談交渉の声が聞こえてくる。 街のアトモスフィアを悪くするこのような行為はニチョームであれば自警団め いた存在であるネザークイーンによって即取り締まられる。しかしこの歌舞伎 町でこのような存在は黙認される。何よりマイノリティへの拒絶めいた何かが 充満しているのを感じ取れてヤモトにとって不快だった。 (まずマスターを探さなきゃ、近くにいるはずだけど)ヤモトはこの地に現界 した時点で聖杯戦争の知識はインプットされている。この偽りの東京で最後の 一組になるまで戦う。これが今回の聖杯戦争。マスターを探すべく当てもなく 歩きだすと前方に女子高生らしき人物が見える。 ヤモトは直感的にあの女性がマスターだと理解した。そしてアイサツをおこな う。「ドーモ、マスター=サン。セイバーです」 ◇ ◇ ◇ 「ドーモ、マスター=サン。セイバーです」 「えっと……人違いじゃないかな……」 「いや、貴女がアタイのマスター」 「晴の名前は一ノ瀬晴です……マスター?さんという名前じゃないよ……」 一ノ瀬晴は困惑していた。マスター?セイバー?今まで会ったことのない人物からマスターという自分とは違う名前を呼ばれている。 普段ならある程度落ち着いて対応できたかもしれないが、今、一ノ瀬晴がおかれている状況で冷静に対応することは難しいと言わざるを得なかった。 桜が並木道一杯に咲き誇っていたあの日。一ノ瀬晴は黒組から卒業した。 東兎角。晴にとってかけがえのない友人。 晴は兎角と二人で黒組での様々な苦難を乗り越えていった。そしてこれからも二人で日向の道を歩んでいこうと決めいていた。 卒業式が行われたその日の夜。二人はとある宿に宿泊する。 ふたりは就寝前に黒組での思い出やこれからのことについてなどについて語り合っていた。 晴はふと窓の外を見ると見事な満月が目に飛び込んでくる。赤い満月が。 「キレイな満月だね兎角さん。でも何で赤いんだろう?」 「赤?どう見ても赤には見えないが」 晴は兎角の返答に驚いていた。その目に映る月はどう見ても赤色にしか見えなかった。 その赤色の月が異常であると認識した瞬間から目を離せなくなっていた。 そして月を見ることに一瞬意識を奪われ、気が付いた瞬間には聖杯で再現された東京の歌舞伎町に立っていた。 「聖杯戦争のこと本当に知らない?」 聖杯戦争について何一つ知らない晴の様子に不安を覚えながらもヤモトは尋ねる 「聖杯?」 見知らぬ土地で見知らぬ人物に声をかけられて混乱していたが、落ち着きを取り戻すために晴は大きく深呼吸を行った。スゥーハァー、スゥーハァー。 深呼吸のおかげか少しだけ心が平静になっていくのを実感する。そして依然聞いた都市伝説のような話が頭に過っていた。 願いを持った人たちが赤い月を見た時、こことは違う土地に呼ばれ、呼ばれた人物とその土地に住んでいる人物とペアを組んで同じようにペアを組んだ人たちと聖杯を求めて競い合う。勝利したものが願いを叶えることができる。その競い合いの名前は聖杯戦争。 ◇ ◇ ◇ 「まさかこれがあの聖杯戦争……」 晴も自分の考えがバカバカしいとは理解している。だが聞いた話と今の状況は合致している部分が多い。自分はあの都市伝説みたいな聖杯戦争に参加しているのではと考え始めていた。 「そう聖杯戦争。マスター=サンとアタイでこの聖杯戦争を勝ち抜かなきゃならない」 「えっとセイバーさん?晴とセイバーさんはここで何をすればいいの?」 聞いた話では他のペアと競い合うと聞いていたが何を競いあうのかは全く知らない。 「この東京で最後の一組になるまで殺し合い」 ヤモトは顔色一つ変えず聖杯戦争の事実を告げる。 「えっ?」 晴はそれを聞いて動揺を隠せなかった。競い合うというからには何かスポーツ的な何かをするものかと思っていたが、まさか殺し合いとは予想もしていなかった。 幼少期から命を狙われ続け、12人の暗殺者に命を狙われた黒組を卒業し、命を狙われることなく、兎角と一緒に日向の道を歩けると思ったが、今度は矢先に見知らぬ土地で殺し合いを強要される。 この事実を聞かされ晴の顔色は明らかに悪くなっていた。 動揺している晴を心配しながらもヤモトは話を続ける。 「そして残った一組が聖杯の力で何でも願いを叶えられる。マスター=サンは何を願うの?」 動揺しながらも願いという言葉に反応する。願い?自分の願いとは?その時ふと晴の家族の姿を思い出していた。自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた家族の姿を。願いで家族が生き返るかもしれない。それなら。 「生きて帰ること……晴は生きて元の世界へ帰ることを願います。兎角と一緒にあの世界で生きることを」 しかし晴は家族の生き返りを願いにしなかった。本当に生き返るかもしれない、しかし家族は自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた。だからこそ一ノ瀬晴は今も笑って生きている。 だが、もしかしたら生き返らせたら家族の行為を無碍にしてしまうのではないかと晴は考えていた。 その考えは自分の傲慢なのかもしれない。だが多くの死を見続けてきた晴だからこそ生きること尊さ、そして死者が生き返ることはあり得ないと理解していたのだ。 「トカク=サンって?マスター=サンの知り合い?」 ヤモトは兎角という言葉を発した瞬間に今まで険しかった晴の表情が一瞬和らいだのをニンジャ観察力で察知し問いかける。 「うん。晴の一番の友達。一緒にお買いものをしたり、映画観たりして、もっと兎角と一緒に過ごしたい。だから晴は元の世界に帰ります」 晴の言葉を聞いてヤモトは友人であるアサリのことを思い出していた。空っぽだった自分にユウジョウを入れてくれた一番の大切な友人を。 ヤモトがネオサイタマにあるアタバキ・ブシド・ハイスクールに転校し、転校生のヤモトに優しく接してくれたのがアサリだった。 その後親交を深めていったが、ニンジャソウルが憑依したことで自分の周りには悪意のあるニンジャが群がってくる。 そのことでアサリに害を及ぶことを恐れたヤモトは奥ゆかしくアサリの前から姿を消した。 短い時間だったがアサリと過ごしたオリガミ部での日々、そしてタラバ―・歌カニでのあの時間はヤモトにとっては宝物であり、一生忘れることはないだろう。 その後偶然にもアサリと再会することができたが、積極的には自分からアサリと会いに行くことはない。またヤモトを争いに巻き込んでしまうことを恐れているからだ。 ヤモトは時々思うことがある。もし自分にニンジャソウルが憑依しなかったら? そうなれば気兼ねなくアサリと会うことができ、もっと長い時間アサリと共に過ごせたのかもしれない。 そして目の前に一番の友人ともっと交流を深めたいという少女がヤモトの目の前に現れた。 自分はニンジャであるゆえに一般人である友人と距離を置かざるをえなかった。でもこの少女は元の世界に帰れば気兼ねなく一緒に過ごせる友人が待っている。 ならばこの少女には自分ができなかったことをやってもらいたいヤモトはそう願う。 「じゃあ聖杯戦争を勝ち抜こう。アタイがやるから、マスター=サンは見ているだけでいい」 ならばすべての参加者を倒して晴を元の世界に返すのみ。ヤモトは戦いに向けての覚悟を決めたが。 「晴は殺し合いをしません。他の参加者に会って戦わないように呼びかけます。そしてみんなで力を合わして元の世界に帰ります」 帰りたいが殺しあわない。このルールを無視した無謀でワガママと言える提案だが、晴には晴なりの考えがあった。 これはかつて自分が体験した10年黒組のシステムに似ている。報酬を求めてターゲットの晴を殺す。違いは自分一人を殺すか、自分以外のものを全員殺すかの違い。 もし参加者を全員説得して戦いがおきなければそうなればゲームは成立しない。そうなれば?ゲーム不成立で参加者は強制的に元の世界に返されるかもしれないと考える。 しかしこれはなんの根拠もない晴の希望的推測だ。そのようなことになることはほぼ0パーセントである。それでも晴は他者を殺すことを拒絶する。 しかしヤモトは晴の考えを理解できなかった。大半の参加者は願いを叶える為に積極的に殺し合うだろう。その中で殺しあわず説得する?何より優勝する以外に元の世界へ帰る方法があるのか?ヤモトは問い質せずにいられなかった。 「もし他の参加者が殺す気で襲ってきて、逃げられない状況だったら?」 「……戦います」 「もしどうやっても聖杯戦争で勝ち抜く以外に元の世界に帰る方法がなかったら」 「……最後の一人になるまで勝ち抜きます」 晴は険しい表情を作りながらもはっきりと口にして意志を示した「戦う」と。 命を狙われ続けたからこそ命の重さを理解しており、他者の生存を願っている。だからこそ戦わないという方針をヤモトに告げた。 ただ極限状態であれば、戦い相手の命を奪うことを辞さない。家族や犠牲になった人たちのためにも晴は最優先事項を自分の生存であると位置付けた。 「わかった」 ヤモトはしめやかに頷く。晴の意志を肯定するように。そして。 「アタイがアナタを守る」 ヤモトにはサーヴァントとしての願いは無かった。ただ晴と出会って願いができた。 晴が元の世界へ帰るまで守り抜く。そして晴が友達と一緒に幸せに過ごしてもらう。それが今の願い。 「でもそれは本当に本当の最後の手段。晴は諦めが悪いから!」 そう言うと晴はヤモトに満面の笑みを見せる。自分は大丈夫とヤモトに安心させるかのように。 それの笑顔を見たヤモトも微笑み返す。そして晴に感心していた。殺し合いしか手段がない状況で他者の生存を考える優しさに。もしこの場にアサリが居たら晴と同じような行動を取っていたかもしれない。 だが極限状態であれば他者を殺して自分が生きると決断的に宣言した。晴から発するアトモスフィアから口だけではなく本当に実行するだろうと予測できる。 そしてもし晴が言う本当に本当の最後の手段を取らざるえない状況になったら。その時は自分がすべてやろうと決意する。晴に手は汚させない。自分はニンジャで、彼女はモータル。手を汚すのは自分だけで充分であると。 「じゃあ改めてよろしくお願いね。セイバー」 『アナタを守る』このセリフに懐かしさを覚えながら、晴は笑みを浮かべて手を差し出す。友愛の意味を込めて、これから二人で頑張ろうという意味をこめて。 「よろしくおねがいします。マスター=サン」 ネオサイタマには握手の文化はないが、晴から感じるアトモスフィアから好意めいたものを感じ取れたので恐る恐る手を伸ばす。そしてヤモトの手を晴は握りしめた。 「よろしく。でも呼び方がマスターじゃなくて晴って名前で呼んでほしいな」 晴は提案するがヤモトが住んでいたネオサイタマにおいて人物の呼称は名字の後に=サンをつけるのが原則である。=サンをつけずに、さらに名前で呼ぶという行為は晴が考えている何十倍以上に失礼な行為なのである。 ヤモトは晴が一ノ瀬晴と名乗っていたのを思い出し、名前が晴ということは名字は一ノ瀬であると仮説を立てた。 「じゃあ……イチノセ=サンで……」 ぎこちなく自分の名字を呼ぶヤモトの姿がおもしろかったのか、晴はクスクスと笑う。 「晴でいいのに、それでセイバーは本当の名前なの?」 ヤモトの姿から自分の知っている日本人と変わらないのでセイバーとは違う本当の名前があると判断して質問をなげかける。 「セイバーはクラスの名前。本当の名前はヤモト・コキ。でも真名が相手に知られることは実際アブナイ。だから人前ではセイバーと呼んで」 「うん。わかったよ。セイバー」 本当の名前を教えてくれたことに晴は嬉しさを覚えつつ、ヤモトの言いつけ通りにセイバーと呼び。 「じゃあとりあえずご飯食べよっか。晴はお腹がすきました……」 そう言うと晴は恥ずかしそうに腹を押さえながら提案する。 「うん」 ヤモトも同意して二人は食事を摂るために歌舞伎町の街並みに溶けていく。 ヤモトと肩を並べながら歩きながらも晴は一抹の不安を感じていた。 出会ってから少しだけの時間だがヤモトの人柄に好意を感じており、ヤモトも敵意ではなく好意を持っていると感じていると思っていた。 しかしこの好意がヤモトの本来の意志ではなかったら? ―プライマー能力― 本人が無意識に他人を魅了し、操る能力。晴はその能力を持っていた疑いがあった。 その能力で家族を操りその身を犠牲にさせることで幼少期を生き残り、黒組でも一番の友人である東兎角を操り自分を守らせたのではないか?その疑念に晴は苦しんでいた。 だが東兎角は晴がプライマー能力を持っていないことを証明することにある行動を取った。『プライマーで操作されている人物がプライマー能力者を殺すことはできない、もし殺せればプライマー能力で操られていることではない』 そして東兎角は晴の胸をナイフで刺すことに成功する。 だがそれは東兎角が考えるプライマー能力の否定であり、プライマー能力の存在を証明することは誰にもできない。 晴は兎角が苦渋の想いで証明した結果を信じている。それでも自分のプライマーがヤモトに作用しているのではという考えを完全に拭うことは出来なかった。 だが晴は信じる。自分にはプライマー能力はなく、ヤモトとも兎角と同じように女王蜂と働き蜂ではなく友人同士の関係を築けることを。 こうして偽りの東京の地でひとりの少女とひとりの守護者の物語が始まる。 【クラス】 セイバー 【真名】 ヤモト・コキ@ニンジャスレイヤー 【パラメーター】 筋力C 耐久D スピードB 魔力D 幸運B 宝具C 【属性】 中立・中庸 【クラススキル】 対魔力:D 魔術に対する守り 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力 騎乗:E 騎乗の才能。しかし騎乗に関する逸話がないため申し訳程度 バイクや自動車を乗りこなせる程度のスキル 【保有スキル】 サクラ・エンハンスメント・ジツ:C ユニーク・ジツの一つ。物質にエンハンスメントを込めることでサクラ色に輝き、只の道具でもサーヴァントにダメージを与えることも可能になる。またある程度の軽い物質ならサイキックめいて操作することが可能 心眼(真):C カラテ、ニンジャ感覚、数々の戦闘の経験によって培われた洞察力 窮地において自身の状況と敵の能力把握し、その場に残された活路を導き出す戦闘論理 アイサツ:D アンブッシュで相手を仕留めきれなかった際、相手が名乗った場合に自分の名前を名乗らなければならない。 名乗らない場合にはステータスが大幅に下がる。 ニンジャにとってアイサツは絶対である。古事記にもそう書かれている。 魔力補給:D スシを補給することにより通常の食事より多くの魔力を回復することができる。 特にオーガニック・スシの大トロは普通のスシより多くの魔力回復が見込める 【宝具】 『折紙誘導弾(オリガミ・ミサイル)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ1~10 最大補足人数:1~10 ヤモト・コキの象徴的なジツが宝具化したもの。 オリガミにサクラ・エンハンスメントを込めてツル、紙飛行機などの形に折りそれを操作して相手にぶつけるジツ。オリガミはぶつかると爆発する。 操作は自由自在。相手にぶつけずオリガミを宙に浮かすことにより機雷、地面に設置することで地雷めいた運用。またオリガミを足場にして跳躍、また爆発する性質を生かして加速に利用することもできる。 普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。 但し、通常の普通の紙にエンハンスメントを込めてオリガミ・ミサイルをぶつけるのに比べて魔力消費は多大になる。 『折紙桜色蝶(サクラ・エンハンスメント・デバフ)』 ランクC 種別:対人宝具 レンジ1 最大補足人数:1 オリガミ・ミサイルが違う形に変化したジツ。 蝶々に形になったオリガミが相手に纏わりつき、相手の攻撃の射線上に蝶があり破壊された場合は小爆発をおこし勢いを削ぐことができる。 また蝶が破壊された様子からヤモトの培ったカラテによって攻撃の先読みを容易にする。 また蝶が纏わりついた物質はヤモトによってある程度の操作が可能。武器に纏わりせれば武器の軌道を変えることができ、さらに相手の得物も奪うことができる。 普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。 但し、普通の紙にエンハンスメントを込めるのに比べて魔力消費は多大になる。 【weapon】 カロウシ、ナンバン 刀匠キタエタの逸品たる双刀 【人物背景】 ある学生の自殺に巻き込まれ瀕死になった際にシ・ニンジャのソウルが憑依してニンジャとなる。ニンジャになったことにより運命は大きく変わる。多くの人と出会い別れながらも人間と成長し、マッポー都市ネオサイタマで懸命に生きていく。 【サーヴァントとしての願い】 願いはなかったが、晴と出会い晴を元の世界に帰すことが願いになる 【マスター】 一ノ瀬晴@悪魔のリドル 【マスターとしての願い】 元の世界へ帰る 【能力・技能】 戦闘能力はないが数々の暗殺者から狙われたことにより修羅場慣れしており、常人より生存能力は高い。 プライマー 意識的あるいは無意識に人を引き付け魅了し支配し操作する能力。しかし一ノ瀬晴がこの能力を持っていたかそうではないかは作中でも完全に判明していない。 【人物背景】 幼少期からある事情で命を狙われ続けた少女。家族、親しい人物は晴を守り、また巻き込まれて死んでいき天涯孤独。 そんな壮絶な人生を歩みながらも性格は明るく天真爛漫。そしてお人よし。 基本的に人の言うことは疑わないので、騙されて窮地に立たされることがしばしば有る。 【方針】 聖杯戦争を中止させみんなで協力して元の世界へ帰る。 ただ最後の一組になるまで元の世界に帰る方法が無いと分かれば方針を勝ち残りに変更する可能性は十分にある
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佐倉杏子&アーチャー ◆KQwctnrg6E 少女が逃げる。 顔をくしゃくしゃにして、髪を振り乱して。それはまるで所業を白昼の下に晒された空き巣のようであった。 「はっ、惨めったらありゃしないね。負け犬らしいっちゃらしいけどな」 佐倉杏子はその後姿に侮蔑的な視線と言葉を吐き捨てる。 余程サーヴァントの力が優れていたのか、出会い頭こそ自信満々に死を宣告してくれた高飛車女。 その儚い自身も、彼女のサーヴァントが既に仕留められていた事に気づけば粉々に打ち砕かれた。 天国から地獄。一転し聖杯戦争の敗者となった彼女は無様をさらして逃げるのみとなったのだ。 「……マスターの方は仕留めなくてよろしかったのですか?」 その背後から黒衣の女性サーヴァントが杏子に声をかける。 つがえていた弓に現れる通りにアーチャーのサーヴァントである彼女は、”霊体化を解きながら”弓を降ろした。 「必要ないよ。サーヴァントを潰した時点であいつは脱落者だ。 仮にマスターを失った別のサーヴァントと手を組んだとしてもどのみち頭数は変わりやしねえし、 その可能性を摘む必要があるほどやり手じゃねえのはあの背中を見りゃ一目瞭然だ」 道端に寄せておいた紙袋を拾いながら答える杏子に、アーチャーは「そうですか」とだけ相槌をうち再び霊体化する。 「今日は引き上げる。あんたはともかく、あたしが闇討ちされない保証は無い」 『了解しました』 事務的な口調でそれだけ告げるアーチャーの声を聞き遂げた杏子は踵を返して教会に向かう。 本当ならもういないはずの両親と妹が待つ、その家に。 その後姿を見て、アーチャーは彼女が告げたこの聖杯戦争における目的を思い出していた。 ――あたしは、願望機に頼るのはもう御免だ。 ――かといってこの世界に居残りたくもない。 ――だから、私はこの聖杯戦争を終わらせる。その過程でもし聖杯が手に入ったら、あんたが好きにしろ。 女神の願いに応じて馳せ参じる自分たちとはまるで逆だな、とアーチャーは考える。 佐倉杏子は家族を失った少女だ。 宇宙的存在の誘いに惑わされた彼女は、代償として魔法少女となる事を承諾し父の幸せを願う。 けれどもそれは造られた幸せ。絡繰りを知った父はそれを拒み、願った娘を罵って母と妹を連れてこの世から去った。 それは杏子の心に暗い影を落とす絶望の記憶で。 ゆえに彼女は、あの時とは別の存在といえども願望機を使って願いを叶える事を良しとしなかった。 仮に聖杯を手にしたとして、アーチャーが聖杯が不要と述べれば躊躇なく破壊するだろう。 ――ならば、それで良いだろう。 アーチャーとて、聖杯にかける願いが無かった訳ではない。 「願いによって絶望した」事を聞いたぐらいで杏子の過去を聞いた訳でもない。 けれども、万能の願望機と失った幸せの偽造を嫌ったこの少女の目の前で願望機を望むつもりは無かった。 あの国は、きっとそんな都合の良いものが無くとも平和を勝ち取れる。 それは仕えた国を裏切る事になるだろうか。 それでもアーチャーは、己の望みよりも主の望みを立てる事を選んだ。 何も、今までとやる事は変わらない。主に仕え、影に生きて、影の中に消える。 ただ、戦う相手が変わっただけ。 魔物ではなく人間を相手取る事になったとしても構いやしない。 「……どうした、行くぞ」 『ええ。主命のままに』 一組の主従は闇の中に消えていく。 世界のためでもなく、正義のためでもなく。 ただただ、彼らだけのための戦いの中へ。 【クラス】 アーチャー 【真名】 漆黒の射手リタ@千年戦争アイギス 【パラメーター】 筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:D 幸運:B 宝具:C 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 【保有スキル】 心眼(真):B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 気配遮断:B サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 影矢:C 飛び道具を発射した時、その影を二つ目の飛び道具として具現化出来る。 影の発生しない場所ではこのスキルの効果は発動しない。 【宝具】 『隠密の射手』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 存在を認知される事なく一方的に弓矢で射抜く、影なる弓兵としての宝具。 マスター、サーヴァント、双方に対し不可視と認識不能を伴い暗殺を試みる事が出来る。 (相手からの攻撃を無効化出来る訳ではない) 具体的にはこの宝具の使用中、アーチャーは霊体化状態で攻撃が可能となる。 加えて気配遮断のスキルを、デメリットを受ける事が無く使用出来る。 長時間維持する事は不可能。 『陰日向の兵舎』 ランク:C 種別:対地宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:10人 常に上を行く才能を持つ弓兵たちに隠れ、兵舎に忘れ去られたエピソードから来る宝具。 一軒家程度の建物をアーチャーの兵舎として定義する事が可能となる。 兵舎は一般人の認識から外れ、高い探知能力がなければ発見が難しい。 攻撃体制にない限り、内部の存在はアーチャーと同等の「気配遮断」の効果を得る。 この宝具を適用するには自分以外の動物等を除いた生物がいないか、 自分かマスターの居住地として定義される建物が必要となる。 【weapon】 弓と影 【人物背景】 影に紛れ気配を殺す事の出来る狙撃手。ぼーっとした性格。 ある時魔物に操られ王子一行に襲いかかり、正気に戻って仲間に加わった。 実力は高いのだが、同時期に優秀な弓兵たちが加入した事や 能力がニッチなため評価されず、三軍以下をしまっておく第二兵舎は 「リタちゃんハウス」と言われる始末。 ただし状況を選べば弱い訳ではない。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯にかける願いはない。 【マスター】 佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ 【マスターとしての願い】 聖杯戦争を終わらせる。 【weapon】 魔法少女としての能力。 槍、多節棍、分銅鎖、鞭など。 幻影魔法も使用出来るがこちらは使いたがらない。 【能力・技能】 上記の通り魔法少女に変身出来る。 身体能力や魔力が人間に比べ大幅に上昇する。 人間ではなくなっているため、ソウルジェムを破壊されるか、 魔力の消費や絶望など負の感情によってこれが濁りきらない限り死ぬ事はない。 聖杯戦争においては魔力の消費によるソウルジェムの濁りが抑えられているほか、 敵サーヴァントを打倒する事によって(下したのがサーヴァントであっても)回復する。 【人物背景】 願いによって家族を失い、他人のための願いを否定する魔法少女。 他者が犠牲になっても構わないという価値観に基づき行動する。 それ以来自由きままに生きており、そのためには犯罪も厭わなかった。 しかしそんな生き方は内心嫌っており、正義感を持ち誰かの為に戦う 美樹さやかとの出会いでその心は少しずつ変わってゆく。 本当は不器用だが面倒見が良くて優しい少女。 【方針】 聖杯戦争を終わらせるために動く。 そのためには犠牲も覚悟の上。
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503 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/12/05(火) 04 56 03 突然発せられたバルディッシュの警告音声。 「待って……何か来た」 その直後にレイジングハートも警告を発する。 「うん、そうみたいだね」 そう、『誰か』でなはく、『何か』が接近していた。 その姿が見えるまでに数秒。 それは正門から現れた。 その立ち姿は白い巌のよう。 露わになっている上半身には無数の傷が刻み込まれており、そこに刻まれた赤の刺青は返り血を思わせる。 その後ろに立つ姿は、狂気に歪んでいた。 「あの少女二人……」 「……唯の人ではないようだな」 「よかろう、それだけで十分だ、『セイバー』、さっきのようにやってしまえ」 命令する、その直後に影が沸いた。 ゆっくりと距離が詰まる。 男の両手には剣。 その剣は腕に絡みつく鎖、そして両腕と一体化していることを理解する、だが理解できるのはそれだけだ。 その殺意は『問答無用』と語っている。 考える時間など与えられはしない。 「なのは、下がって……後ろの影をお願い、余裕があれば援護して」 「……うん、分かった」 スタンバイからアサルトへ、同時になのはもスタンバイからアクセルへモードを変更する。 あの巨体ならば動きは鈍い、である以上敏捷性で掻き回す。 フェイトはそう結論し、真後ろへ全速移動する。 だが、その目論見は失敗する。 少女が己の後ろへ動くと認識した瞬間、男も後ろに跳び、逆にフェイトの背後を取る。 Check six バルディッシュの声はそれだけ、打ち付けるように投げつけられる剣の一撃を飛行して回避する。 ――危なかった そう考えて、同時に己の甘さを認識する。 巨体ならば動きは鈍い、それは通常の認識であるが、英霊にそのルールは通用しない。 総合的な速度で勝つことは可能なようだが、掻き回す事などできはしない。 そして、そうであるなら、戦い方は自ずと変化する。 Photon Lancer フェイトの周囲に、光の槍が出現した。 「シュート!」 複数の光弾が周囲に突き刺さる。 その内の一発が身体を掠めて地面、そして展開しつつあった影に穴を穿つ。 初弾は威嚇。 これで戦いをやめてくれるならという淡い期待を抱く。 「っと……凄い威力だ……だがな!」 だがそれはあっさりと裏切られる。 男の周囲に撒き散らされた影から獣が沸く。 耳障りな鳴き声と、蒸発していく苦しみと共に、少女二人に向けて獣が突貫する。 「悪いが、俺のために沈んで貰うぞ!」 獣の後ろ、男が取り出した物は、AK-74 カラシニコフ であった。 「そんな、銃? レイジングハートッ!」 両腕で固定されたカラシニコフは狙い違わずなのはに向けて弾丸を飛ばし―― Round shield 展開される光の盾に阻まれる。 そう認識するまでの間に全弾を撃ち尽くす。 「……そんな物まであるのか、魔術ってヤツぁ厄介だな……僕が素人だってのは自覚してるが……」 獣が銃撃の間に接近する。 「セイバーッ! 何を遊んでいる……!?」 男がセイバーを見やる。 「ッ……!」 後方に光の槍を連れ、疾駆する。 フェイトは距離を保ちながら牽制の魔法で対抗する。 「……凄い」 フェイトは思わず呟く。 牽制の一撃とはいえ、威力はゼロではない。 だが、牽制の一撃には頓着せずフォトンランサーを捌いている。 その耐久性はともかく、敏捷性はその巨体からは想像もつかないほどだ。 その能力によるものか、中距離を保つこと自体が難しくなってきた。 攻撃に慣れてきているのか、接近速度が上がっている。 このままでは、接近されてあの二刀に斬られる結末が待っている―― ならば更に離れて……大技で勝負をかけるしか…… 「えっ?」 巌の口元が笑う。 「主神の怒り Zeus s Fury 」 それと同時、二刀が消え、その手に雷が現れる。 「そんな……ッ!」 セイバーが術式を展開する!? フェイトの混乱するよりも早く、雷が放たれる。 「くっ!」 バク宙の要領で回避する。 だがその隙を狙い、更に数発が放たれる。 「正確さは殆ど無いけど……!」 途方もない手数。 それは正に雷撃の弾幕だった。 13発の雷撃を全速で回避する。 その回避が限度、フェイトはフォトンランサーの制御に失敗し、光の槍が虚空に消える。 だがセイバーは攻撃の手を緩めず、更に発生する両手の雷撃がフェイトを襲う。 ここに二人の攻守は逆転した。 格闘戦:近接攻撃に打って出る 魔術戦:真っ向から魔術で勝負する 回避継続:なのはの援護攻撃を待つ
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いくつもの不運と幸運を重ねて 時は待たない。 全ての者に平等に結末を運んでくる。 電子世界の冬木市に僅かに陽の光が差しはじめた頃、枢木スザクは小鳥の囀りで目を覚ました。 「……夜が明けてきたのか。 本当に現実と変わらない世界なんだな、ここは」 大して疲労の抜けていない身体を起こし、スザクは先ほど潜り込んだこの家を物色し始めた。 本来ならもっと睡眠を摂るべきなのだが、昨夜の激戦のせいかはたまたバーサーカーへの魔力供給のせいか、強い空腹感に苛まれていた。 それに一度目が覚めてしまったせいか、腹を満たしたとしてもすぐには眠れそうにもなかった。 そこでまずは食糧を探すことにした。 食糧はすぐに見つかった。 何しろここは普通の民家、台所を探せば食べ物が見つかるのは当たり前の道理だった。 スザクはいくつかの菓子パンとバナナ、そして牛乳を選び取ると自分でも驚くほどのスピードでそれらを貪った。 そうしていくらか空腹を満たした後、今後の戦略を考えることにした。 やはり目下最大の敵は他二人のマスターと共に柳洞寺に立て篭っているルルーシュだ。 ランサーの言によれば柳洞寺は自然のマナが集まる霊脈であり、サーヴァントの回復には最適の場所であるらしい。 おまけに周辺には霊的な結界まであり、正面以外から侵入したサーヴァントは能力値を軒並み低下させられてしまうらしい。 まさに攻めるに難く守るに易い要衝の地。早々にそのような場所に目をつけさらには二人のマスターを抱き込んだルルーシュの手腕は流石と言う他無いだろう。 加えてそこに集うサーヴァントも粒揃いだ。 バーサーカーと同じ円卓の騎士であるガウェイン、そして彼ら円卓を従え十二の会戦に勝利し、かつてのブリテンに繁栄を齎したアーサー王。 また、宝具を無効化する宝具、太極図を備えたライダー。 太極図というありふれた単語だけでは真名を完全に絞り込むことはできないが、ランサーから聞いた中華風の装いと併せて考えれば中華系、それも宝具の性能から察するに神話の人物であることは疑いない。 最後の決め手は鳴上悠がマスターとしての透視能力で見たという軍略のスキル。 これら全てに該当し得る人物は多くはない。 その中で最も知名度と可能性が高い人物と言えば世間では釣り人の代名詞として知られる周の軍師・太公望だろう。 いずれも神話のメジャー級の英傑ばかりであり、まともに戦えば苦戦どころでは済まされない。 「そうだとしても、時間を掛けすぎるわけにはいかないか…」 しかしルルーシュをよく知るスザクは例え拙速と言われても可能な限り早期に柳洞寺を攻めるべきではないかと考えていた。 確かにルルーシュの頭脳とギアスは脅威だ。 だが彼とて無から有を生み出せるわけではないのだ。 故に、ルルーシュが準備を完全なものにする前ならば決して倒せないことはないはずだ。 逆に言えば、時間はスザクにとっての敵でありルルーシュにとっての味方なのだ。 それにサーヴァントの戦力でも大きく劣っているとは思わない。 自身のサーヴァント、ランスロットは言うに及ばず鳴上悠のサーヴァント、クー・フーリンも円卓の騎士に勝るとも劣らぬ大英雄だ。 もう一人の同盟相手である衛宮切嗣のライダーだけがやや未知数な面が強いのがネックといえばネックだが。 「そしてもうひとつ、衛宮切嗣と鳴上悠のどちらを残すか……」 当たり前だが、最終的には優勝を目指す以上柳洞寺攻略後のことも見据えなければならない。 そして衛宮切嗣と鳴上悠の間に(理由はわからないが)因縁がある以上この三者同盟はそう長続きしないだろうことは想像に難くない。 柳洞寺に篭った三組のマスター達という共通の敵がいるからこそ辛うじて成立している同盟であることをスザクは正しく理解していた。 そうである以上、柳洞寺を攻略した後は両者を天秤にかけてどちらかを切り捨てる必要が出てくるだろう。 「…やはり、より危険なのは衛宮切嗣の方だろうな」 スザクが見た限り衛宮切嗣という男からは人殺しのプロ、有り体に言えば暗殺者のような雰囲気が感じられた。踏んだ場数も向こうの方が遥かに上だろう。 先ほどの戦闘とその後の交渉でまんまと出し抜けたのはひとえに戦闘中に乱入し、奇襲をかける事によって多大なアドバンテージを得られたからに他ならない。 幸いバーサーカーは衛宮切嗣のライダーに対しては相性が良いようだが戦闘中のやり取りから察するにライダーにはバーサーカーすら打倒し得る切り札が存在する可能性がある。 何より衛宮切嗣はステータスと宝具が隠蔽されている筈のバーサーカーの能力を何故か以前から知っていた節がある。これは断じて看過して良い問題ではない。 先ほどは鳴上悠の首を献上すると言ったが、あんなものは交渉をスムーズに進めるための方便だ。 あちらもそこまで本気にしてはいないだろう。 対して鳴上悠はマスターとしては反則的なまでに万能かつ強力な術(ペルソナと言うらしい。心理学用語のペルソナと関係があるのだろうか?)を持つ反面、人間同士の殺し合いには慣れていないように見受けられた。 むしろ、どこにでもいる普通の学生と言った方が違和感が無いぐらいだ。 御しやすさという点で言えば衛宮切嗣よりもずっと楽な相手だといえる。 事実先ほどは生殺与奪を握っていたとはいえあっさりとこちらの望む条件を呑ませることができた。 今はペルソナを使えなくなっているようだが、当面戦力的にはランサー(魔力供給の途絶は一時的なものだったらしい)が加わるだけでも十分だ。 むしろ最終的には死んでもらうことを考えればずっとペルソナを使えないままで良いとすら思っている。 何よりも彼らは令呪で丸二日間こちらに攻撃できない状態にある。これを活かさない手はない。 「決まりだな。衛宮切嗣には早々に消えてもらった方が良い」 呟きながら今後の方針を固めていく。 体力が回復次第柳洞寺に攻め入る。最優先目標はルルーシュの殺害とバーサーカーの足の傷の治癒だ。 そしてその段階で上手くライダーを消耗させ、鳴上悠と共謀して衛宮切嗣を葬る。 彼からすれば衛宮切嗣は相性の悪い相手だ。謀殺を提案すれば喜んで乗ってくることだろう。 その後は令呪の効果が切れるまでは鳴上悠との同盟を維持する。 大雑把だがこんなところで当座は問題ないだろう。 戦場では何が起こるかわからない以上、細かい部分は臨機応変に対応せざるを得ないだろうがそれは仕方ない。 頭の中で今描いたシナリオを反芻しつつ、再びスザクは休息しようとしていた。 だが、彼はもう少しだけ慎重になるべきだったのかもしれない。 聖杯戦争を勝ち抜くためのシナリオを描いているのは何もスザクだけではないのだから。 「っ!?」 突如、地震のような揺れと大気が震えるような感覚に襲われた。 何が起こったのか確認しようと外に出ようとした瞬間、凄まじいまでの轟音とともに玄関が破壊され、大量の破片やガレキがスザクを襲った。 「……?」 だが、予想に反してスザク自身には何の痛みも衝撃もやって来ることはなかった。 実体化したバーサーカーがその身と支配下に置いたドラグブラッカーを盾にしてスザクを守ったのだ。 その動きはただの理性を失った獣では有り得ない、主君、いや、友を守るための騎士のそれだった。 「…ありがとう、バーサーカー」 感謝の言葉を口にして、前方を睨む。 そこには、自分達を襲撃してきたであろう巨大な馬に跨った巨漢の姿があった。 巨漢は馬から降りると宝具だったのであろうそれの実体化を解き、威風堂々と立ちはだかってきた。 そしてその後ろから、マスターと思しき海藻のような頭髪の少年が現れた。 遡ること数時間前、間桐慎二は大いに困惑していた。 「…は?月海原学園?」 自宅で羽瀬川小鳩との“お楽しみ”に時間を費やした後、ライダーとキャスターを引き連れて獲物を探しに夜の深山町に繰り出した彼が遠目に見たのは普段通っている穂群原学園とは似て非なる形の校舎だった。 何事かと思い立ち寄ってみると、そこには穂群原学園は影も形もなく、代わりに月海原学園なる学校があった。 「な、何なんだよこれ?」 例え聖杯戦争だとしてもあまりに予想外すぎる事態にしばらく立ち尽くしていたが、意を決して中に入っていった。 サーヴァントを二騎従えているという事実が慎二を強気にしていたのだ。 何故か開かれていた校門から中に入ると荒らされたグラウンドと窓ガラスが割れ、外壁のあちこちが削られた校舎が見えた。 既に新たな聖杯戦争が始まっていることを改めて実感する光景だった。 そして驚くべきことに校舎に入ると数人の生徒らしき者がいた。 「おい、そこの奴!ここは本当は穂群原学園なんだ。 どこの魔術師だか知らないけどこの冬木でちょっと勝手が過ぎるんじゃないか?」 慎二が八つ当たりの対象に選んだのは休憩時間を利用して購買にお菓子を買いに行っていた図書室受付の間目智識だった。 彼女はどこか困ったような調子で慎二にとって信じ難い事実を口にした。 「君、確か間桐慎二君だよね? えーっと、すごく言いにくいんだけどここって地上の冬木市じゃなくてムーンセルで再現したバーチャルな冬木市なんだよね」 「は?なんだよそれ。 いい加減なこと言って誤魔化そうとしてるんじゃないだろうな?」 「いや、嘘なんかついてないから! だって君、地上の聖杯戦争で一度殺されたのにちゃんとこうしていられてるでしょ?」 「っ!?な、何だよお前、何でそんなこと知ってるんだよ!? ~~~!!くそっ、わかったよ、いいからまずは説明してみろよ! 嘘をついてたら、ライダーとキャスターにこの学校ごとぶっ壊させるからな!!」 聖杯戦争の当事者でもない限り知り得ない事実を知っている事に加え、自分がここで生きている理由を知っていそうなこの少女をすぐに殺すのは不味い。 そう考えた慎二は持てる理性を総動員して癇癪を抑え、話しを聞くことにした。 実のところ彼も死んだ筈の自分が生きている理由が気になってはいた。 死人を完全に生き返らせるなどそれこそ魔法の領域だ。 それにこの場所に来るまでにも(意図的に無視していたが)小さな違和感はいくつもあった。 如何にサーヴァントを従えていたとはいえ無断で魔術師の工房に侵入した非力な小娘相手に何もせず、姿も見せなかった祖父・間桐臓硯。 同じく所在の知れない義妹・間桐桜。 さらに蟲の一匹もいない異様な蟲倉。 それらの事実が慎二に辛うじて冷静さを保たせたのだ。 「……とまあ、大体こんなところかな?」 間目智識は語った。 ムーンセルの成り立ちやその機能、参加者に話しても問題ない範囲でのこの聖杯戦争の詳細なルールや性質などを。 「じ、じゃあ何か? 今ここにいる僕はただの再現されたデータだっていうのか?」 世間で言うところの遊び人である慎二は他の魔術師と違い、ある程度は機械やPCへの知識と理解があった。 だからこそムーンセルに関する説明も理解はできたのだが、それは別の困惑を生んだ。 人間一人のデータを丸ごと再現するなど尋常な事ではない。それこそ聖杯でもなければ到底成し得ないことだ。 いや、それを言えば街ひとつをそのまま再現するのもそれ以上の超越的な技術なのだが今の慎二にそこまで気を回す余裕はなかった。 「事実だけを言えばそうなっちゃうね。 でもそれは他のどのマスターも同じだよ。 現実世界に肉体があるか無いかっていう違いはあるけどね」 「……!!おい、ライダー!! そんな大事な事を何で僕に黙ってた!?」 怒鳴りつけた慎二の横に憮然とした表情のライダーが実体化した。 「貴様とて聞こうとはしなかっただろう。 経験者の貴様の意を汲んだまでよ」 その言葉には明らかに先ほど令呪を使われた事に対する意趣返しの念が含まれていた。 だが慎二はそんなことなど棚に上げて苛立ちを募らせていく。 「この大馬鹿野郎!! マスターにこんな基本的な事も伝えないサーヴァントがあるか!! お前本当に勝つ気があるのかよ!?ええっ!? 大したサーヴァント様だよ、まったく!!」 令呪の強制力が働いているのを良いことにこれまでこのサーヴァントにコケにされてきた鬱憤を罵声に変えて晴らしていく。 前回の聖杯戦争で自身の(正確には桜の)サーヴァントの忠告を全く聞き入れなかった彼がこんなことを言う資格はないのだが、今この場に限っては正論であるともいえた。 慎二の口が更なる罵声を紡ぎ出そうとしたその瞬間、それはやってきた。 まるで昼夜が逆転したかのような強烈な閃光と何かがぶつかり合ったような轟音、そして学園内の全ての窓ガラスを割るほどの凄まじい地震と衝撃波が襲いかかってきたのだ。 ライダーが渋々身体を張って盾になったため傷こそ無かったが衝撃によって慎二は無様にも床に寝転がる羽目になった。 「な、何だ今のは…。 そ、そうだ、あれはまるであの時の……」 そんな慎二の脳裏に浮かんだのはまだ真新しい記憶。 自らのサーヴァント・メドゥーサが敵サーヴァントの放った宝具の光の奔流の中に消えていった敗戦の瞬間だった。 それを漸く思い出した慎二の身体から急速に血の気が引いていった。 そう、いくら今回の自分のサーヴァント・ライダーのスペックが優れていようとあれほどの宝具を使われては耐えられるはずがない。 キャスターを屈服させた程度で自分は一体何を調子に乗っていたのだろうか。 (か、勝てるのか…?生き延びられるのか、僕は……?) ここに来て初めて強い不安に駆られた慎二に更なる追い討ちが待っていた。 「あ、新しい脱落者の名前が出たみたい」 同じく咄嗟にライダーの後ろに隠れて難を逃れた間目智識の言葉で掲示板(今まで気がつかなかった)の方を向いた慎二の視界に信じ難い名前が映った。 脱落者 天野雪輝 我妻由乃 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 正直に言って上の二人の有象無象のマスターはどうでもいい。 慎二の目を引いたのは三番目の名前、始まりの御三家の一角にして自分を一度殺したあの強力無比なバーサーカーのマスター、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンだった。 「そ、そんな馬鹿な…。 始まってからまだ半日だって経っちゃいないんだぞ。 なのにアインツベルンが、あのバーサーカーのマスターがこんなにあっさり…?」 その事実は慎二の中の死への恐怖を再燃させるには充分すぎた。 あのマスターを殺したのが今さっき炸裂した宝具であったならばまだ良い。 だがもしもそれ以外のまだ見ぬサーヴァントの手によるものだったとしたらどうする。 イリヤスフィールの名前しか追加されなかったということはそいつを倒したマスターとサーヴァントは未だ健在ということだ。 そんな危険な連中を向こうに回してどうして生き残れるというのか。 「や、やっぱり僕は死ぬんだ…。 もう駄目だ、おしまいだぁ……」 その場に蹲って嫌だ、死にたくないとうわ言のように呟きはじめた。 「うろたえるな、小僧!!!!」 そんな慎二にライダーの容赦ない叱責が飛んだ。 不甲斐なさすぎるマスターに苛立ちが頂点に達したライダーの大音声は、結果としては慎二にいくばくかの冷静さを取り戻させた。 「貴様は誰を従えていると思っている!! この拳王を召喚しておきながらそのような無様を晒すなど…恥を知れい!!!」 「な、何だよ…。 何偉そうなこと言ってんだよ。 お前状況わかってんのかよ!? あんな危険な宝具を持ってる連中と戦って勝ち抜けると思ってるのかよ!? お前だってたった今見たとこだろ!」 「愚問だ。 甚だ不本意だがこの拳王の名にかけて貴様を聖杯の頂きまで連れていってやろう」 有無を言わさぬ断固とした口調で告げるライダーに慎二は不覚にも多少の頼もしさを覚えた。 彼の前のサーヴァントは従順ではあったが勝利を約束することはしなかった。 否、勝利そのものに対して執着が無いようにも見えた。 だからこそ、憚ることもなく勝利を断言するこのサーヴァントが眩しく映った。 「ライダー、お前……」 ライダーに何かを言おうとしたところでまたしても騒音が響いてきた。 先ほどよりも遠くから聞こえた音に慎二は今度こそ冷静な判断を下すことができた。 「よし、まずは様子を見るぞ、もちろん一番安全な場所からな」 そして時間は現在へ戻る。 突如として敵マスターとサーヴァントの奇襲を受けたスザクは必死で事態を好転させるべく頭を回転させていた。 今の自分達は激戦を越えたばかりであり、はっきり言ってまともに戦える状態ではない。 となれば取り得る手段は一つしか有り得ない。 「待ってくれ!」 「何だよ?命乞いか?」 妙に自信満々な相手の様子を怪訝に思いながらもスザクは言葉を紡いでいく。 ここで戦うわけにはいかないのだ。 「そうじゃない、君は知らないかもしれないがこの聖杯戦争は単独で戦い抜けるほど甘いものじゃない。 現に今柳洞寺には三組のマスターが籠城しているし、僕自身も二人のマスターと同盟を結んでいる。 ここで僕らが潰し合うのはどう考えても得策じゃない。 むしろ、ここは一時でも手を組んで柳洞寺を攻めて後顧の憂いを絶つべきだ」 提供しても構わない情報を小出しにしつつ交渉を試みる。 柳洞寺にいるマスター達の存在を考えれば衛宮切嗣や鳴上悠もここでスザクが脱落することを望まないはずだ。 この交渉が上手くいかなくても彼らが救援に来るまでの時間を稼げば良い。 あの二人、特に衛宮切嗣に対しては弱みを見せたくはないが背に腹は代えられない。 「へえ、それは確かに人手が要りそうだ。 手を組む必要もあるかもね。 その上で聞くけど、僕とお前が対等な関係である必要がどこにあるわけ?」 だが、相手のマスターはまるで耳を貸す様子がない。 こちらの言うことを信じていないわけではないようだが、だとすればこの不可解なまでの自信は何なのだろうか。 考えを巡らせる暇も与えぬとばかりに海藻頭の少年はサーヴァントに顎で合図し、それと同時に敵サーヴァント――恐らくライダー――が凄まじい威圧感を放ちながら突進してきた。 バーサーカーはすかさず黒龍ドラグブラッカーと共にライダーを叩き潰すべく迎撃を試みる。 ランサーや元の持ち主であるライダーをも叩き伏せた黒龍の性能は断じて伊達ではない。 だが、その選択は拳王ラオウに対してはこの上ない愚策と呼ぶ他なかった。 「そのような木偶でこの拳王と対等に戦おうなど…笑止!!」 そう言うやライダーは右掌に魔力、いや、気を溜めていく。 そして、迫るドラグブラッカーに真正面から激烈な気を放った。 「北斗剛掌波!!!」 周囲を揺るがす爆音とともにドラグブラッカーの巨体が大きく揺れた。 騎手であるバーサーカーが必死に制御しようとするも、多大なダメージを受けた黒龍は人間でいうところの棒立ちに近い状態に陥った。 「砕けよ!!」 その隙を見逃さずライダーの剛拳がドラグブラッカーを直撃し、その身体を粉砕した。 拳王ラオウの全身全霊の拳はその一撃一撃が平均的な対人宝具にも匹敵する。 魔力の塵となって消えていく黒龍を他所にバーサーカーはすぐ後ろに着地して難を逃れたが戦力の大幅な低下は免れなかった。 (不味い!!) 今の一連の攻防からスザクは目の前のライダーとバーサーカーが極めて相性が悪いことを痛感した。 あのライダーは武具という武具を用いない、武術でもって戦うサーヴァントだ。 バーサーカーが奪える武器が無いのでは真正面からの戦いを強いられることになる。 しかもこのライダーは相当な実力者だ。 もしもバーサーカーが切り札“無毀なる湖光(アロンダイト)”を使える程度まで回復していたのなら足の傷を考慮しても互角以上の戦いができただろう。 だが現実にはバーサーカーは先ほどの一戦で貯蔵魔力の大半を消耗していた。 無理を押して両腕を修復して衛宮切嗣と鳴上悠らの戦闘に介入したことがここに来て裏目に出た。 さらに、ランサーの“刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)”を防御した時に受けたダメージも未だ癒えていない。 如何に身体の限界を超えて戦えるバーサーカーといえども体力も気力も魔力も尽きた状態でまともな戦いなど出来るわけがない。 スザクのその考えを裏付けるようにバーサーカーはライダー相手に防戦を余儀なくされていた。 その場に転がっていた角材を即席の宝具にして凌いでいるが、ライダーの拳を受ける度に宝具としての神秘を付与された筈のそれが軋みをあげ、バーサーカー自身にも確実にダメージが蓄積していった。 このままでは決壊は時間の問題だ。 (ならば打つ手はひとつだ……!) 「ハハ、ハハハハハハハハ!! 凄い、凄いじゃないかライダー!! 流石は僕のサーヴァントだ!!」 そう、熱に浮かされたように騒いでいるあの少年をスザク自身が仕留めることだ。 見たところ、戦闘の心得があるようには見えない。 (その油断が命取りだよ) 幾度目かもわからないライダーとバーサーカーの激突。 その間隙を縫ってスザクは駆けた。 普通の人間の限界を完全に超越した動きで少年、間桐慎二に迫る。 「ハッ、引っかかったなバーカ!」 猛烈なスピードで突進してくるスザクを嘲笑する少年の背後から何者かが現れスザクを殴りつけ、瞬く間に組み伏せた。 「ぐっ…!ま、まさかそんな……!?」 スザクが驚くのも無理はない。 突然現れたその男は明らかに人間とは異なる気配、即ちサーヴァントとしての気配を纏っていたからだ。 スザクは知らないことだが、そのサーヴァントこそキャスターとして招かれたゾルフ・J・キンブリーだった。 「ハハッ!無様だね。ああ、言っておくけどアテにしてる同盟相手の援軍なら来ないぜ?」 「なっ!?ど、どうして…」 動揺を露わにしたスザクの顔を見た少年は何かの確信を得たかのようにニヤリと笑った。 即座にしまったと気付いたがもう遅い、少年はカマをかけていたのだ。 (迂闊だった…!さっきの戦いは見られていたんだ!) 「大体さあ、ちょっと考えればわかるだろ? これは聖杯戦争だぜ?いくら同盟してるからって競争相手には違いないんだ。 そんな奴のピンチに駆けつけるような物好きがそうそういるわけないだろ。 ましてあんなやり方で介入したんじゃ尚更さ」 得意気に自らの推理を語る少年に返す言葉をスザクは持たなかった。 衛宮切嗣と鳴上悠の思惑は分からないが今もって彼らがスザクを助けに来ていないことはどうしようもない事実だからだ。 「ともあれ勝負ありって奴だ。 おいキャスター、死なない程度に痛めつけてやれ。 そいつとサーヴァントには使い道があるからね」 「…ええ、わかっていますとも」 「……!!」 キャスターはまずスザクの残された右腕をへし折った。 そして両足に手を添えた次の瞬間、スザクの両膝に小型の爆弾が出現した。 「なっ…!?」 その直後スザクの両足は爆ぜ、膝から先の部分が永遠に失われることとなった。 その激痛たるや、スザクの人生においても経験したことのない例えようのないものだった。 「ぁ、ぐああああああああああああああああああぁぁぁっ!!!!」 「あははははは!!こりゃ傑作だ!! さあて、お前に選択肢をやるよ。 ここでキャスターに体中を爆破されて死ぬかサーヴァントを差し出して生き延びるかという素敵な選択肢をね」 「だ、誰、が……!!」 下衆な笑いを浮かべながら見下してくる少年を渾身の力を込めて睨み返す。 例えここで死ぬとしても戦友と認め合った者を売り渡すわけにはいかない。 そう固く心に誓い、歯を食いしばる。 だが、世界がスザクの意思を聞き届ける理由はどこにもない。 いや、それは裏切りに塗れた人生を歩んできた彼への罰だったのかもしれない。 枢木スザクには既に誇りある死を選ぶ事すら許されない。 ――――生きろ (……!?) 突如頭の中に響いた命令(ギアス)。 慎二の提案を拒めば即座に死を免れないこの状況においてその呪いはスザクに最も恥ずべき言葉を選ばせた。 「ああ、わかった」 「へえ、物わかりが良いじゃないか。 ってお前、もう令呪を一画使ってるのかよ。 まあ良いさ、お前はサーヴァントにこう言うんだ」 スザクの赤く染まった瞳に気付かぬまま気を良くした慎二は令呪の使用を促した。 その指示に従って、スザクの口は禁断の言葉を紡ぎ出した。 「間桐慎二及びラオウに命令された事柄を除く一切の行動を永久に禁じる」 その瞬間、戦闘中のバーサーカーの動きがピタリと止まった。 対魔力の低い彼に令呪の強制力に抗う術などありはしないのだ。 見覚えのある光景にライダーは恨みがましい表情で慎二を睨んだ。 「…貴様、またか」 「怒るなよ、これは立派な戦略ってやつさ。 むしろ感謝したって良いんじゃないか? これから先お前が直接戦うに値しない雑魚はみんなキャスターとバーサーカーが片付けてくれるんだからさ」 「…ふん」 「……俺…は…何を……」 慎二とライダーが話し込む中、スザクの心は途方もない絶望に支配されていた。 せっかくバーサーカーと分かり合えた筈だった。 ここから自分たちの聖杯戦争が始まる筈だった。 それなのに聖杯への道をたった今、自ら断ち切ってしまった。 これから先聖杯戦争を勝ち抜くなどもう不可能だ。 これが父を刺し、旧友を皇帝に売り渡した自分への報いだとでもいうのか。 こみ上げる悔し涙を抑えることができなかった。 (何故だ…ルルーシュ、俺はどこで間違えてしまったんだ? もし君ならこんな逆境も覆せたのか……?) 神の視点から言えばこの聖杯戦争でのスザクは常に最善かそれに近い行動を取り続けてきたと言っていい。 当初バーサーカーを単独で行動させた事も並のマスターやサーヴァントが相手であればベストといって差し支えない策だったし、運悪く匂宮出夢に発見されてしまったが聖杯戦争において弱点となるマスターが潜伏するのはむしろ良い判断だった。 それらの策は結果的に裏目に出たが、それでもそのすぐ後に令呪を用いてバーサーカーとの対話を図り、鳴上悠から宝具を奪還したことも些か拙速ではあったが彼らの窮状を鑑みれば限りなくベストに近い判断だった。 無い無い尽くしの中スザクは見事な奮戦を続けていたが、運を味方につけることだけはできなかった。 もしも彼に失策と呼べるものがあったとすれば、先ほどの戦いの後単独で行動してしまったことと、失地を挽回しようと焦るあまり自分達の行動が第三者に見られる可能性がある事を失念していたことにある。 スザクが気付いた通り慎二らは先ほどの戦いを学園の屋上から遠目に観察していた。 以前にサーヴァントを使役した経験のある慎二は英霊が視力においても人間のそれを遥かに超越することを知っていた。 故に屋上という比較的安全な場所からでもある程度は戦闘の様子を窺い知る事ができると判断したのだ。 その判断は功を奏し夜間とはいえ街中で堂々と戦闘に勤しんでいた二人のマスターとスザクらの姿をライダーとキャスターの眼はしっかりと捉えていた。 流石にどのような会話がされていたかを聞き取ることは叶わなかったが突如として戦場に介入し、特撮ヒーローのような姿のサーヴァントの宝具の一部を奪いランサーのマスターを攫い、もう一方のマスターに電話をかけたスザクやバーサーカーの動向から慎二はある結論を導き出した。 即ち、スザクは自らが主導権を持った同盟を築くために戦場に現れ、ランサーのマスターに令呪を使わせランサーの戦力を出汁にして恫喝することでもう一人のマスターとも共闘を持ちかけたのだと。 このように考えればランサーのマスターを殺さなかったスザクらの動きの理由にも説明がつく。 令呪の使用を示す強烈な赤い光が出たことをライダーらがしっかりと見ていたことも慎二に自らの推理を肯定させる材料になった。 そして三組の中からスザクを選んで奇襲を仕掛けたのもいくつかの理由あってのことだ。 一つは単純な位置関係。 スザクらは運悪く慎二らに最も近い位置に移動してしまっていたのだ。 もう一つはスザクら三組の同盟の関係性だ。 慎二は戦闘に介入して引っかき回した挙句片方のサーヴァントの宝具を奪い、片方のマスターに令呪を使わせたスザクは介入された双方から恨みを買っていると推理した。 逆に残る二組のマスターのどちらかを攻撃すれば折角の共闘関係を壊させまいとスザクが横槍を入れる可能性が高いとも考えた結果、スザクを潰すのが最もリスクが低いという結論に達した。 逃げの一手を打たれないようあらかじめキャスターを後ろに伏せさせた上で敵サーヴァントの索敵範囲外からライダーの宝具“黒王争覇”で強襲を仕掛けたのだった。 それでも同盟相手が救援に来るのではないかという可能性を完全には捨てきれなかったため、慎二は大きな態度とは裏腹に内心では気が気でなかったのだが、結果的にはその心配は杞憂に終わった。 残る二組は元々一戦交えていた連中だ。主導権を握っていたスザクが潰えれば再び勝手に潰し合ってくれるのは明白だと慎二は考えている。 元々間桐慎二は所謂要領が良いとされるタイプの人間だ。 それを支えているのが(本人はさして自覚もしていなければ誇ってもいないが)人より優れた推理能力だった。 第五次聖杯戦争では魔術回路を有さない事から来るコンプレックスや家のしがらみ、過剰なまでの衛宮士郎や遠坂凛への敵愾心から最後まで発揮されることは無かったそれがこの場においてついに存分に振るわれた。 この聖杯戦争でもやはり魔力供給は不得手だが、サーヴァントを指揮するマスターとしては決して悪くない素養を持っているのだ。 対キャスター戦に続いて完全な勝利を収め、バーサーカーをも手駒にした慎二には精神的な余裕が生まれつつあった。 キャスターを使ってスザクを引き続き脅すことで彼はスザクがこれまで入手してきた情報をそっくり手に入れることにも成功した。 それを基にして慎二なりの今後の戦略を構築していく。 (夜も明けたしとりあえずは家に帰ってしばらくは静観だな。 バーサーカーが回復しないようなら魂喰いでもさせれば良い。 やりすぎたらペナルティがあるらしいけどそれで損をするのは僕じゃなくて枢木の方なんだ、ゲームみたいな杓子定規なルールはこういう時ありがたいね) それは先ほど間目智識からムーンセルについて聞き出した時に確かめた事だった。 多数のNPCを殺傷し続けた際、ペナルティを被るのは実行したマスターとサーヴァントに限定される。どのような状況にあるかは斟酌されないということだ。 (衛宮、少しは猶予をやるよ。 あっさり僕が勝ってしまったんじゃつまらないからね。 べ、別にあいつのサーヴァントの宝具が怖いわけじゃないぞ) ニヤつきながら間桐家へと引き返していく慎二の背中をキャスターは無表情で見つめていた。 (まだまだ警戒されているようですね。 これはもう少し積極的に取り入らなければ隙を作らないかもしれません) 先ほど屋上でスザクらの戦闘を観察させた際、慎二はやろうと思えばより詳細な情報を知ることもできた。 彼が屈服させたサーヴァントは魔術師の英霊であるキャスター。 その類い稀な道具作成技能を活用すればサーヴァントの眼に頼らずとも慎二が直接戦況を覗くこともできた。 そうしなかったのは令呪で従わせているにも関わらず未だ完全には自分への警戒を解いていないからだ、とキャスターは考えている。 いや、先ほどの戦いでキャスターに背中を晒すような指示はしていたことから基本的には屈服させたものと思っているが無意識レベルでは信用していない、といったところだろう。 未だサーヴァントとしての意識が薄いキャスターは知らないことだが慎二が元いた世界の聖杯戦争においてキャスターのサーヴァントは奸智に長けた裏切りのクラスとして知られている。 如何に令呪の力で従属させているとはいっても結局のところキャスターも慎二にとっては敵サーヴァントの一人でしかない。 そんな輩に自身の命を預ける道具を用意させるなど自己の保身を何よりも優先する今の慎二には考えられないことだった。 当然にして彼は未だキャスターに間桐家を工房として使う許可を与えていない。 安心できないという何ら戦略的見地に基づかない理由で高い後方支援能力を持つキャスターを通常戦力としてしか用いないのは下策と評する他ないが、その下策が結果的にキャスターにとって動きにくい状況を作っているのもまた事実ではあった。 キャスターはこのままずっとあの小物としか言い表せない少年の道具でいる気は全く無い。 いや、そもそも極めて意思の薄弱な羽瀬川小鳩のサーヴァントでい続ける気も更々無かった。 彼はこの戦いを勝ち上がるためにより有力なマスターを常に探し求めている。 だがその計画を実行に移すためには現在自分の生殺与奪を握っている慎二を上手く油断させ、厳しい条件の中謀殺せねばならない。 バーサーカーをも従えた慎二はいよいよもってキャスターを使い潰すことに躊躇いなど覚えなくなるだろう。 何しろバーサーカーのサーヴァントには裏切りを考える思考能力など無いのだから。 (ただ…今のところ運があの少年に味方しているのも事実。 その運が持続している限りは従っておくのも一つの手ではある…) キャスターが分析する限り間桐慎二はこの聖杯戦争に参加したマスターの中でも最も幸運に恵まれているマスターだ。 彼自身は貧弱なマスターながら開始早々に輪をかけて貧弱なマスターである小鳩を補足し、キャスターを手駒にしたという幸運を発揮した。 また、小鳩の拷問に時間を費やし、学園に寄り道したことで運良く先に学園で行われたのであろう戦闘や直後に起こった大規模な宝具合戦に巻き込まれなかった。 更に幸運なことにスザクらの戦いも比較的安全な場所から傍観し、最もリスクの低い戦略を立て、結果としてバーサーカーをも屈服させることにも成功した。 運もまた実力の内。キャスターは生前の経験則から運を味方につけている者を無理に排除しようとする者は往々にして手痛いしっぺ返しを受ける事を知っている。 如何にしてあの小心者なマスターに取り入り、どのようなタイミングで反旗を翻すか。 キャスターはそれらの方策を未だ計りかねていた。 【深山町・民家跡/早朝】 【間桐慎二@Fate/stay night】 【状態:疲労(小)、気分高揚、残令呪使用回数2画】 【ライダー(ラオウ)@北斗の拳】 【状態:魔力消費(中)、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二に異を唱えるな 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【状態:疲労(大)、右腕骨折、左腕欠損(処置済)、両足喪失、絶望、残令呪使用回数1画】 【バーサーカー(ランスロット)@Fate Zero】 【状態:ダメージ(特大)、魔力消費(特大)、右大腿に刺し傷(通常の回復手段では治癒不可能)、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二及びラオウに命令された事柄を除く一切の行動を永久に禁じる ※リュウキドラグレッダーは完全に破壊されました 【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】 【状態:健康、令呪】 ※令呪の詳細は以下の通りです 間桐慎二及びラオウに従え 間桐慎二の命令があり次第速やかに自害せよ
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キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 泥 名前 ブリジット・メイア・ウィンザー・ライジェル 英名表記 Bridget Meir Windsor Rigel 誕生日・年齢 11月11日・16歳 身長・体重 159cm・45kg 血液型 A型 好きなもの 王道、紅茶 苦手なもの 卑劣な手段や策謀、カレー 特技 降霊術 起源 王道 属性 秩序・善 魔術属性 水・風・土 魔術系統 降霊術、召喚術、元素変換魔術など 魔術特性 支配 魔術回路 質:A / 量:C/ 編成:正常 略歴 現英国王室・ウィンザー家の傍流にあたる家系・ライジェルの若き当主。 父であるグレゴリー・ライジェルは多方面に優れ有力な当主であったが、朋友であった同盟家の裏切りを受け派閥争いに敗北。 その過程で呪殺された父の跡を継ぎ、弱冠14歳で当主の座に就く。 グレゴリーの優れた手腕を完璧以上に受け継いだブリジットは侮られる中でその才能を如何なく発揮。 僅か2年で傾いていた勢力図を塗り替え、元同盟家や敵対勢力を退け、再び元の地位へと返り咲いた。 その際に王家から「ウィンザー」姓を名乗る事を許され、彼女の代からその名前を採択している。 英国政府より「率爾発生特異点夢覚処方機関」――通称デスペルタドールによる、夢界事象への対応を要請され、第三夢界調査に際して同組織に合流する。 聖杯戦争儀式についての知識は有しており、セイバーを召喚し事態の解決にあたる。 人物 白いドレスの様な装束に身を包んだ、容姿の上ではまだ幼さの残る少女。 プラチナブロンドの髪をショートカットに切り揃え、透き通る乳白色の肌をあまり露出しないよう金縁刺繍のローブを纏っている。 家督継承後の手腕を「必要とはいえ汚い手段にも頼った故の恥」と認識し、君臨する者の責務として潔白且つ気高くあることを誇るなど、 その精神性は正しく高貴なる者(ノブリス)を体現している。 事実ブリジットは「王」としての素質を持って生まれ、知識や経験を積むにつれ上に立つ者として成長している。 とはいえ、ブリジット自身は王や統治者になりたいわけではなく、その精神性と環境がどうしようもなく王道であるだけ。 本人は寧ろ魔術師として大成したいのだが、能力はともかくその清廉さが災いして今以上に進まない事に悩んでいる。 但し自身の立場とそれに伴う責務は正しく自覚しているため、持ち得る権利と義務を正当に振るう事を心掛けている。 同時に「人の上に人あらば、それは機構として機能してはならない」という自論を持っており、「国の為の王」という在り方を嫌う。 王が王たるには民の為に在り、民無くして成立する国は無い。然し王もまた、その国に根付く民である。 故に彼女は一方的に非ず、その恩恵の流動をこそ大事にした義務の在り方を提唱している。 +人間関係 人間関係 セイバー デスペルダドールの特殊事象対策として召喚したサーヴァント。雷鳴の皇帝の腹心、当代最強の軍人皇帝。 能力 様々な系統の魔術を修めているが、特に降霊術に秀でている。 ライジェルの降霊術は通常の基盤に加え元素変換の延長線上にもあり、パラケルススの提示した四大精霊(エレメンタル)に関係している。 ブリジットはその中でも水の精霊ウンディーネと相性がよく、精霊の欠けた魂を補う事で自身に憑依させ、その力を借り受けることが可能。 これにより真エーテルを解き明かすことがライジェルの命題の一つでもあり、根源へのアプローチの一手段となっている。 魔術戦闘においては空気中の水分子に作用し、収束した水泡を急激に熱し水蒸気爆発を引き起こす『泡沫のクワイア』を主軸にする。 起源覚醒者ではないものの、その絶大な在り方は存在としての性質に大きく引っ張られている一例と言える。 事実ブリジット自身も自らの在り方を止める事ができないのか、魔術の研鑽という目的との両立に苦心している。 逆にその過程で手に入れた知識は豊富であり、各地の伝承や土着信仰に由来する魔術など比較的マイナーなモノについても知っている。 +主な魔術 主な魔術 『泡沫のクワイア』 「魔術師の本分は戦闘ではない。ですが、そうなる事を想定出来なければただの愚者です」 彼女の魔術戦における戦闘スタイル、及びライジェルの降霊術を用いた術式の名称。 空気中の水分子をウンディーネの力で操作し、急激な熱負荷を掛けることで水蒸気爆発を引き起こす。 魔術により引き起こされるが、水蒸気爆発そのものは物理現象であるため抗魔術などは意味を為さない。 純粋な火力もかなり高らしく、後先を顧みない最大出力であればカトラ山の噴火に匹敵するとも。 『剣たる騎士の叙勲(ナイト・オブ・オーダー)』 「――汝の身は我の元へ、我が命運は汝の剣へ。その使命、ヒトの世の現身として真理を守る防人となれ!」 聖杯戦争において、ブリジットが英霊召喚後に行う儀式魔術。 英国王家の宝器『慈悲の剣(カーテナ)』を投影し、騎士叙勲を模した儀式を行うことでサーヴァントとの相性を概念的に補強する。 サーヴァント側は一部能力値や魔力効率の上昇、ブリジットは令呪の強制力増加や指示の円滑化などの恩恵を得られる。 ブリジットとサーヴァント双方の承認が必要だが、無理強いをする気はないため最終的にはサーヴァント次第。 また、この『慈悲の剣』はあくまで形と最低限の性質のみを持たせた投影品であり、儀式礼装として以外の使用には向かない。
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456 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/30(月) 04 09 01 「し、士郎ー! なに押し倒されて鼻の下伸ばしてんのー!」 遠坂嬢がとうとう踏み込んできた。 怒りも露わな様子。 寺の子の話通り、相当な猫かぶりだったと今ようやく実感した。 「どうしたのリン、レディーはいつも優雅に、でしょ?」 「それとこれとは別よー! ていうかアンタが優雅じゃないわー!」 確かに淑女は押し倒すとか言ったことは滅多にしないという意見には同意だ。 というか衛宮氏、呆然としすぎて逃れると言うことを忘れて居るぞ。 「んー? 逃げないって事は、シロウってば実は期待してた?」 『あ』 逃げるのを忘れた衛宮氏と、引き剥がすチャンスを逃した遠坂嬢が同時に声を発する。 そして再びイリヤ嬢が氏の首筋を舐めたりキスをしたり耳を噛んだりしている。 ……犬が親愛の情を示すような物だろうか。 「期待してたのなら満足させてあげるよ……ふふふ」 なんとも妖艶な笑みを浮かべるイリヤ嬢、実に末恐ろしい事である。 それにしても、布団は無事なようだが氏は舐められてべたべただろう。 いや、待てよ、満足させるというと……まさか。 「ちょ、ちょっと! 二人! 見てないで助けてくれー!」 両腕と体重で腕を押さえると器用に足で服を脱がし始めた。 そこで飛びかかろうとした遠坂嬢を軽く後ろから抱き留める。 この光景は見ていて飽きないというか、ずっと見ていたい気持ちになる。 自然と笑みがこぼれてしまうのもある意味で道理であろう。 「待ちなさーい! 二人ー!」 うがーと叫んで振り解くてイリヤ嬢を引き離す。 どうやら似たような事を考えていたらしい。 氏に集中していたのと身軽なこともあってあっさりと引き剥がされた。 「リンもしたいならそう言いなさいよ、意見をちゃんと言うことは誰にとっても大事よ?」 「んなっ……」 おお、遠坂嬢が耳まで真っ赤に。 ……貴重な瞬間だ。 「ほら、私はもう楽しんだから、リンも行きなさーい!」 おお、後ろに回り込んでタックルを。 そのまま遠坂嬢が氏に向かって転がり込んで。 ……なんとも古典的な。 「あ……」 「う……」 先程のイリヤ嬢のからすれば随分と軽かったが……二人には随分と衝撃的だったようだな。 「ふふふ……カネ、私達は一回退散しましょう、むしろシロウの部屋から覗き込んだ方が面白いかもしれないわ」 「……ふむ、一理ありそうだなイリヤ嬢……ではごゆっくり」 思わず笑みをこぼし、イリヤ嬢と連れだって宛がわれた部屋から退散する。 ……まあ、そうなることはなさそうだが、その結論に至までの二人というのは面白そうだ。 ああ、うむ、その、なんだ。 非常に気まずい。 「その……なんだ」 「うん……」 体勢が良くない。 先程遠坂が転がってきた体勢そのままである。 具体的に言うとマウントポジションな状態で、顔も非常に近いです。 あとそれからイリヤの魔術のせいなのか体がうまく動かせません。 「と、とりあえず、上に乗ってるのはやめてくれるかな?」 「あ、うん……」 バッと遠坂が飛び退く。 沈黙が降りる。 「士郎」 ややあって遠坂が口を開く。 「……とりあえずお風呂入ってきたら? ……話があったらその後で」 「ん、そうだな……とりあえず入ってくるよ」 出来うる限り冷静に、平成に返答する。 舐められているときは思わずゾクゾクしてしまったが冷静に事が終わってみれば体中がベトベトしてるなー…… 何てことを、冷静になって思い返す。 うん、ここは遠坂の助言通り風呂にはいる事にしよう。 ベトベトになった服を洗濯機に入れ、風呂場のドアを開けた。 すると―― あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!:部屋にいるはずのイリヤと氷室が既に風呂に入っていた ここは満員だ……逃げることは……できねーぜ……:一番風呂で入っていたはずの蒔寺がまだ入っていた この肉体にしっくりなじんでパワーが今まで以上に回復できたぞ:「あ……」三枝さんとなのは、フェイトの三人が入っていた 最高に『ハイ!』ってやつだ!:「おや、ミスター?」ルヴィアさんですか? ロードローラーだッ!:鼻歌交じりの藤ねえが振り向いた。 おれが時を止めた…… 9秒の時点でな……:「おや、士郎?」ライダーが入ってました。 第3部 完:よく沸いた湯が張られている、リラックスできそうだ。
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悪魔が来たりて…… ◆HQRzDweJVY 東京・品川区。 22キロ平方メートルの土地に40万人近い人口を押し込んだこの土地にも人数の偏りというものは当然あり、 メシア教教会は比較的人口密度の低い高級住宅街の中に立地されていた。 そのため日の落ちた今、教会の礼拝堂もまた静寂に包まれていた。 今晩は前述の理由に加え、"ある事情"により定例のミサが中止になり、シスターたちは早々に宿舎の方へ戻ってしまっているのだ。 だが礼拝堂には最低限ながらも明かりが点っている。 かすかな光に照らされた、メシア教のシンボルである十字架。 その前に一人の青年が跪き、ただ静かに祈りを捧げている。 彼は周りの人間からは"牧師様"と呼ばれている。 とはいえ教会から正式に認可を受けた、いわゆる職業としての牧師ではない。 だが敬虔な祈りを捧げるその姿を見れば、そのような呼び方をされているのも納得できるだろう。 そんな彼だから部外者にもかかわらず、『人がいない間、一人で祈らせてもらえないか』という無茶な願いにも、シスターたちは笑顔で許可を出してくれたのだ。 そして今、彼……ロウヒーローは食事も取らずにただ祈りを捧げている。 いや、祈るというのはポーズにすぎない。 今、彼の心を埋め尽くすのは信仰心ではなくある記憶だ。 ロウヒーローは思い返す。 自分の目の前で消えた男の、最後の言葉を。 『せっかく――――いい夢を見ていたというのに』 意味の分からない、うわ言のような言葉。 だが腹の底から絞りだすようなその声は、いつまでもロウヒーローの中を反響していた。 (……一体、彼に何があったのでしょうか) あれだけの傷を負ったということは別の主従と戦ったのだろう。 そこで神のごとく強大な力を持つサーヴァントに倒されたのか。 それとも悪魔のごとき智謀を持つマスターに敗れたのか。 ……いや、どちらにしても彼があんな表情を浮かべる理由にはならない。 彼が力によって敗れたとしたら、浮かべるのは怒りと渇望を混ぜたような表情だろう。 だが露わになった素顔に浮かんでいたのは、悔恨の色。 後悔と絶望に彩られた、虚ろな表情。 身体よりも、何より心に死に至るの傷を刻まれたような顔。 彼のそんな顔をロウヒーローは見たことがなかった。 だが彼の心をそれほどまでに揺さぶる人物について、たった一人だけ心当たりがある。 (……まさか。それこそありえない) 脳裏に浮かんだその答えを頭を振って否定する。 この東京にはマスターもサーヴァントも何らかの"願い"を持つものが集められているという。 それは自分を含め、きっとどうしようもない願いを聖杯に託している人々だ。 だが"彼"は秩序におもねることも、混沌に依ることもなかった。 だからきっと聖杯などという奇跡にすがることなく歩めるはずだ。 それに……例え"彼"が立ち塞がったとしても、混沌の英雄はあんな表情はしないのではないかと思った。 確証はない……だが、それはロウヒーローの中で確信に近いものとしてあった。 何故ならばかつて自分と彼は同じ境遇であったからだ。 かつて理性たる秩序の偽救世主である自分が"彼"に倒された瞬間に得たのは"納得"であった。 それならば感情たる混沌の偽救世主であるカオスヒーローが得たのはきっと……"親愛"に近いものではないのだろうか。 だがそれならば尚更わからない。 何故彼はあんな顔をして―― 「……マスター、そのへんにしとけよ」 自分に投げかけられるため息交じりの声。 その声は自分の傍に降り立った美しい少年のもの。 その背中には純白の翼が生えている。 「気が済むまでやらせようと思ったが、やめだ。 祈るのはいいけど食べるもんも食べなきゃ倒れるぞ」 「……大げさですよ」 「大げさなもんか。あれから何時間経ってると思ってんだ」 促されるままに時計を見てロウヒーローは驚く。 自分にしてみればものの数十分のように感じていたが、相当な時間が経過していた。 そんなロウヒーローの姿を見て、刹那は呆れたような表情を浮かべる。 「まさかその様子だと気づいてなかったのか? 確かに友達が倒されたのはショックだろうけどな、気を確かに持てよ。 まだ聖杯戦争は始まったばかりなんだからな」 注意を促すだけの刹那の軽い言葉。 だがその中に含まれていた言葉を思わず反復してしまう。 「……"友達"、ですか……」 「何だよ、はっきりしない言い方だな。 あいつはマスターの友達じゃないのかよ?」 怪訝な表情の刹那にロウヒーローはぎこちない笑みを返す。 「……どう、なのでしょうね。 ただ……かつての僕たちは道を違え、敵対した。 それどころか神の名のもとに殺そうとすら思っていた。 そんな彼を友達と呼ぶ資格があるのか……」 かつて自分は秩序の側に立ち、彼は混沌の側に立った。 最後は天使の糸に絡め取られたとはいえ、最初にその道を選んだのは自分だ。 それに自分たちは僅かな道中を共にしただけの仲だとも言える。 自分と彼、そして"彼"。 奇妙な運命の中でのみ出会い、そして分かたれた三人。 友達と呼ぶ資格どころか自分たちは結局のところ赤の他人なのかもしれない。 「……すまんマスター。先に謝っとくぞ」 何のことだろう、と思う間もなく頭に響く衝撃と痛み。 数秒経ってやっと頭を思い切り殴られたのだと気づく。 「馬ッッ鹿じゃねぇの、お前!」 拳を握りしめたままの刹那は、呆れと怒りを混ぜこぜにしたような表情を浮かべている。 「友達ってのは"これをしたから友達"だとか、そういう資格がいるもんじゃないだろ! それどころか喧嘩ですら無い、苛立ちのぶつけ合いやってた仲だって、ちょっとしたきっかけで友人になることがある……そんなもんだろ」 何かを懐かしむような眼差し。 ここではないどこかを見るような視線の先にはきっとロウヒーローの知らない誰かがいるのだろう。 『それに』と刹那は言葉を続ける。 「……一度や二度殺しあったからなんだってんだ。 友達は友達だ。そこに運命だのなんだの……そんなややこしい物があろうとなかろうと簡単に変わるもんじゃないだろ?」 そういって、刹那は笑う。 その笑顔はとても尊いもののようにロウヒーローには感じられた。 「それにな、マスターは相手が"友達じゃない"って言ったらそこで綺麗に切り替えられるのかよ」 「それは……」 言葉に詰まるロウヒーロー。 確かに、それは難しいことだ。 それにその考え方は―― 「そうだ。それは結局誰かの言いなりになってるってことだ。 今のマスターは違う道を――自分の意志で進める道を探しているんだろ? だったらそういう決断からも逃げちゃいけない。 最終的に決めるのは俺でもない。あのダッジャールでもない。ましてや神様でもない」 ロウヒーローの目に映るのは、自分を指差す天使の姿。 「――アンタだ、マスター。アンタが決めて、アンタが背負うんだ」 目の前の少年にもかつてきっと多くの選択と、それに伴う後悔があったのだろう。 だがそれでもそれを否定しないと言っているのだ。 歩んできた道を、自身の選択を肯定するのだと。 「……そう、ですね。 そう……決めることから逃げてはいけない……」 おぼろげな過去の記憶に思いを馳せる。 悪魔の現れる東京、金剛神界、変わり果てた街…… 家族や恋人とも生き別れ、襲いかかる悪魔と戦い続けた旅路だった。 幾度と無く意見は食い違い、喧嘩したことも一度や二度ではない。 そして最終的には道は別れ、互いに殺し合った。 だが。 だが、それでも――。 「……ああ、そうですね。彼は僕の"友達"……だったんですね」 短い旅路の中でも笑い合うことは何度もあった。 そうだ、彼らと一緒にいることが、嫌ではなかったのだ。 それは否定してはならないことだったのだ。 「ありがとうございます刹那君。………貴方が僕のサーヴァントで本当によかった」 「よせよ。そういうのは願いを叶えた時に言ってくれ ……ま、安心しろよ。 少なくとも俺の目から見たら、アンタたちは友達以外の何物でもなかったからさ」 『説教なんて柄じゃないんだよ』と照れたように顔を背ける、天使だがどこまでも人間的なサーヴァント。 聖杯戦争が開始してまだ一日も経っていないが、それでも確信する。 彼が自分のサーヴァントで本当に良かった、と。 その時だった。 礼拝堂のドアを叩く音が聞こえたのは。 刹那は瞬時に霊体化し、礼拝堂には再びロウヒーローの姿だけが残される。 普通に考えるならばドアをノックしたのはシスターや教会に務める誰かだろう。 もういい時間だ。礼拝堂を施錠する時間であってもおかしくない。 だが、何故かそうではないという予感があった。 「――どうぞ」 ロウヒーローの声に応えるように、重いドアが開く。 そして、その向こうからひょっこりと顔を出したのは小さな少年だった。 「こんばんは、牧師様」 「ええ、こんばんは。一郎くん」 少年の名は松下一郎。 このメシア教会で生活する少年だ。 大手電機メーカーの御曹司だという彼が、どうしてこの教会に預けられることになったのか。 その詳しい経緯について、ロウヒーローは知る由もない。 だがその目を見れば何となく予想はできる。そのすべてを見通すような目を見れば。 「こんな夜分にどうしたのですか?」 「ええ、今日はいろいろあったので、寝る前に祈りを捧げておこうかと思いまして」 そう言って西の空へと視線を向ける。 その先にある事故現場に思いを馳せているのだろう。 正午ごろ、新宿区で起こった謎の爆発事故、あるいは爆破テロ。 数時間たった今でも情報が錯綜しており、実際どちらであったのか未だはっきりしない。 だがどちらにしろ確かなのは、多くの犠牲者が出てしまったということだ。 「では共に祈りましょう。彼らの魂の安らぎのために」 「ええ。それでは僕は彼らの魂の安らぎと――平和なる千年王国のために」 二人並んで黙祷をささげる。 長いようでもあり、短いようでもある静謐な時間。 それを破ったのは少年のほうだった。 「……牧師様。一つだけ質問してもいいでしょうか」 「ええ、僕に答えられることならば」 「牧師様は魂があるとお思いなのですね?」 それは奇妙な質問だった。 魂の実在。それはメシア教徒である以上肯定するしか無いものだ。 聡明な少年にそのことがわからないはずはない。 つまり、そんな質問をした意味とは―― 「ええ、霊魂なんて、目の前に空気があるように"あるにきまっている"のです。 千年以上の歴史の中でそれは既に実証されていると言っても過言じゃない。 僕が言っているのは"彼らにも魂があるか"――そういった類の話ですよ」 ――NPCの魂の有無について。 そのことに彼が言及した意味は一つしかない。 暗に自分が彼らとは異なる存在……つまり聖杯戦争のマスターだと告げてきたのだ。 警戒し戦闘態勢に入ろうとするエンジェル。 だがそんな彼をロウヒーローは手で制する。 あえて明言しないのは、宣戦布告などではないという意思表示なのだろう。 そうであればこちらも敵対することはない。 ただ問いかけに答えるまでだ。 ……心の、望むままに。 「……ええ。一郎くんの言うとおり、僕は彼らにも魂があるのではないかと疑っています。 正確に言えば"魂に至る何か"、ですが」 「ほう。それは興味深い答えですね」 一郎少年は身を乗り出す。 真っ直ぐな鋭い視線がロウヒーローを見つめている。 その瞳の奥にかつての友人のような強烈な意志が渦巻いているのをロウヒーローは感じた。 「魂とは物体の記録であり、世界側からの記憶体、肉体に依存しない存在証明だと言われています。 では――極めて高密度な情報体は魂と見分けがつくのでしょうか?」 この教会に務めるシスターや、言葉をかわすメシア教徒の人々。 買い出しに行くスーパーの店員やすれ違っただけの通行人。 ロウヒーローはこの"東京"で目覚めてから、様々な人々をつぶさに観察してきた。 だが正直な所、まるで見分けがつかなかった。 NPCと呼ばれる彼らはいずれも自らの意志で行動しているように見えたのだ。 それが極めて高度なAIだと言ってしまえばそれまでだ。 だがそれを言えば科学的に見れば人間の思考とて、脳の生み出す電気信号にすぎない。 「そして僕たちは超高密度の情報から構築された魂、その実例を目にしている」 「なるほど。サーヴァントとは、言わば無限情報サーキットたるムーンセルが観測した英雄たちの情報を元に構築された霊子生命体。――それは最早一種の魂とも呼べるのかもしれないですね。 事実、調停者(ルーラー)とやらはサーヴァントと使い魔、NPCを明確に区別していますし」 流石に理解が早い。 『一を聞いて十を知る』という言葉を体現するかのような少年の頭脳に感心しながら、ロウヒーローは話を続ける。 「流石に彼らにサーヴァントほどの情報密度はないでしょう。 ……ですが決して"0"ではない。 故に僕は考えるのです。ルーラーがNPCと呼ぶ人々にも魂やそれに準ずるものがあるのではないか、と。 だから彼らにもきっと神の身元へ行くことが出来ると信じ、祈りを捧げるのです」 0と1に還元される無機質なデータだけではないと。 その生には意味があったのだと。 そう、ロウヒーローは考えている 「……なるほど、それは面白い考え方ですね。 ですがそれが真実だとすると、本来の聖杯戦争とは無関係なことが起きているということになる」 「ええ、ですからこれは単なる僕自身の妄想に近い。 結局は亡くなった彼らにも魂があって欲しいという、身勝手なエゴなのかもしれません。 ですが……」 ロウヒーローは一度言葉を切り、一郎の瞳を正面から覗き込む。 「……ですが、そうでなかったとしても正直な所……この聖杯戦争がただの願望機の奪い合いとは……思えない。 確固たる証拠はありません。 ですが、どこかに誰かの意図が垣間見えるような気がするんです。 ……それもとても危険な"誰か"の意図が」 この聖杯戦争の裏側には何者かがいる。 それも世界の危機のような、極めて危険な何者かが。 己のサーヴァントである刹那が、救世使(エンジェル)が呼ばれたことはその証左なのではないか。 いや、そうでなくともかつての自分の背後に天使がいたように――或いはかつての彼の後ろに悪魔がいたように――何者かが見えない糸を引いている……そんな想像が頭の何処かに消えてくれないのだ。 そんなロウヒーローの言葉を聞いた一郎は、少し考えこんだ後、口を開いた。 「……牧師様、一つお願いがあります。僕の使徒になっていただけませんか?」 「使徒?」 「ええ。僕の理想とする、つまらない争いのない千年王国。 その世界を築きあげるための同士となってほしいのです。 あなたはかつて自分のことを贄だといった。 ですが今のあなたはきっと……真剣に世界と向き合える人だ」 その言葉は、かつて聞いた天使たちの言葉によく似ていた。 だが目の前の少年は祭り上げるのではなく、『共に』と言った。 それに瞳には苛烈な意思だけではない。 ある種の誠実さと本気で人間という種の未来に対する憂いがあった。 現代の価値観を破壊する革命児。 その有り様は混沌(ケイオス)であり、メシア教徒よりもむしろガイア教徒に近いと言える。 だがその眼に宿った確固たる何かが、無軌道なガイア教徒とは一線を画していると感じられる。 真の救世主とは彼のような人間のことを言うのだろう。 彼ならば或いは真の救世を成せるのかもしれない。 だが―― 「……いえ、遠慮しておきます。 僕には僕のやるべきことがある。……少なくとも、今は」 「そうですか。残念です」 傍から見れば意外なほどにあっさりと引き下がる一郎。 「牧師様はそう答えるような気がしていました。 それに……貴方の眼には未だ迷いがある」 やはり見透かされている。 そう思い、ロウヒーローは苦笑する。 「ええ。正直な所、今の僕は未だ確かな僕である自信がない。 未だに確かな自分を取り戻していないような感覚がある。 それでもかつてと違う道を、自分の意志で選ばなくてはいけない。 今の君のように」 「……ふふ、やっぱりあなたは面白い人だ」 そう言って一郎は微笑む。 笑い慣れていないせいか、それは些か不気味では合ったが心の底からの笑みだった。 何せ元の世界では同世代の子どもたちはもちろんのこと、世の大人たちも自分と真正面から向き合おうとはしなかった。 両親ですら自分の姿から目を背け、見ようとはしなかった。 だが目の前の青年は"松下一郎"をまっすぐに見つめている。 恐れるでもなく、馬鹿にするでもなく、ただまっすぐに見つめようとしている。 だからこの"牧師様"と呼ばれる青年は一郎の興味を引いた。 それは自分が呼び出したものしか信用しない"悪魔くん"にとっては非常に珍しい事だった。 「……あなたの出す答え、僕も興味があります。 もしも答えが出た際はぜひ聞かせてくださいね」 「ええ、僕も一郎くんに聞いて欲しいと思っていましたから」 悪魔くんの笑みに合わせるようにロウヒーローもその顔に微笑みを浮かべる。 礼拝堂に広がる奇妙な沈黙。 だがそれは決して不快なものではなかった。 不意にロウヒーローが口を開く。 「……それにしても君によく似た人を知っています。 顔も、性格も、そのどれも似ていませんが、その意志の強そうな目が。混沌すら乗り越えそうなその目が」 「へえ。それは珍しいことがあったものだ。 もしかしてお友達ですか?」 「ええ、僕の……友人です」 それだけじゃない、きっとあの男にも――」 ロウヒーローの言葉が途切れる。 「あの男?」 「ああ、その……ここで話すにはふさわしくない名前だったので」 そう言ってロウヒーローは苦笑する。 礼拝堂、メシア教のお膝元で話せない名前といえば一つしか無い。 すなわち、"悪魔"に関することだ。 「ふふ、いいことを教えてさし上げましょう。 ぼくは同級生から"悪魔くん"と呼ばれていたのです。 ここに住んでいてこういうことを言うのも何ですが、ぼく以上にここにふさわしくない人物はいないと自負していますよ。 ですから牧師様がその人の名前とやらをごまかしたところで今更なんですよ」 それは彼なりのユーモアだったのだろう。 少年に気を使わせてしまったことを恥じ、口を開く。 その男を見たのは救世主として祭り上げられた際に見たデータの中だった。 ガイア教の幹部にして、その正体は唯一神に歯向かった明けの明星。 その名は…… 「ルシファー。仮の名前は確か――ルイ・サイファー、と」 ■ ■ ■ 「……まったく、無茶をする」 部屋に戻ってきた主を見てザインは大きくため息をついた。 マスターは自分を部屋に待機させたまま、丸腰で敵陣に一人乗り込んでいったのだ。 普通に考えれば自殺行為だ。 だというのにこの少年は汗一つかいていない。 それどころか機嫌が良さそうですらある。 「無茶ではないよ。彼は敵ではないからね。 むしろ僕達の求める千年王国に住まうべき善良な人間だ」 無傷で帰ってきている以上その言葉は真実だろう。 だがザインは主を戒めるように口を開く。 「………だが、彼も何かの願いがあってこの聖杯戦争に参加したのだろう。 それが僕達の目的と違う可能性は――」 「ああ、わかっているって。 もし僕達の前に立ち塞がることを選んだ時は容赦はしないよ。 僕達には成し遂げるべき使命があるのだから」 誰もが幸せに暮らせる千年王国。 幾多の聖者が夢に見て、ついに到達できなかった幸福な世界。 それに手が届くであろう聖杯戦争という舞台は松下一郎にとって千載一遇のチャンスだ。 みすみす逃すつもりはない。 ……例えそれが何者かの思惑通りであったとしても。 「……それにしても僕をこの東京へと誘った悪魔が君たちの世界の悪魔だったとはね。 ぼくらが魔界と呼ぶ場所は、案外君たちの世界に通じているのかもしれない」 しかし何にせよ、あまりよろしくない事態だ。 この聖杯戦争は少なくとも悪魔の干渉を受けている。 ならば自分がまだ知らないだけで他にも外部から干渉を受けていると考えるのが妥当だろう。 果たして裁定者(ルーラー)はこのことを知っているのだろうか。 「やれやれ、困ったことになったなあ。 まったく仮にも調停者(ルーラー)と名乗ってるんだから、管理ぐらいちゃんとしてくれないと困るよ」 一郎はそのままベッドに寝転がり、目を閉じる。 「マスター、眠るのか?」 「まさか。ちょっと明日以降のことを考えなきゃいけないから集中するだけさ」 億劫ではあるが呆けていて事態が好転することはないのだ。 明日は何かしら行動を起こさねば。 しかし盤面は一日目にして複雑怪奇なものになっている。 (さあて、どう動くべきかな……) 教会の一室で深く、静かに悪魔的頭脳は回転を始める。 それはある種の冒涜的な魔術めいていて――。 【B-4/品川・メシア教教会/1日目 夜】 【ロウヒーロー@真・女神転生Ⅰ】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]一人暮らしの学生程度 [思考・状況] 基本行動方針:人として抱いた願いをまずは取り戻す 1.ジョーカーや夢といったかつてを思わせる状況を追うことで、今に至る自分自身を追い見つめなおす。 2.ジョーカーをどうするのかは自分の意思で決める。 3.救世主であり、友であった“彼”と“彼女”が二人でいられたのかが知りたい。 4.松下一郎は気がかりではあるが、今の自分は自分から彼の敵に回るつもりはない。 [備考] ※サンダルフォンの夢を何らかの予兆として捉えています。 サンダルフォン@天使禁猟区についてエンジェルより情報を得ました。 ※ジョーカー討伐クエストの詳細及びジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 ※松下一郎を聖杯戦争に参加しているマスターだと確信しました。 ※カオスヒーロー及びザ・ヒーローの真名を忘却しています。 ※NPCと呼ばれる人々にも魂があるのではないかと考えています。 【エンジェル(無道刹那)@天使禁猟区 】 [状態]健康 [装備]なし(宝具は実体化させていない) [道具]なし [所持金]逃避行開始時の先輩からの選別込の所持金程度 [思考・状況] 基本行動方針:ロウヒーローの仲間として、彼が自分の生き方をできるよう共に戦う。 0.ルシファー、か…… 1.ロウヒーローとともにジョーカーを追う。 2.ロウヒーローが予兆として捉えた夢について警戒。 ロウヒーローが再び生贄の道を辿ろうものなら何としてでも止める。 3.様々な符号からこの聖杯戦争の裏に、自分たちに知らされている以上の何かや何者かがいるのではと懐疑的。 4.松下一郎をザフィケルと重ね、現状敵でないにしてもその策謀やいずれには警戒。 [備考] ※聖杯戦争に介入者がいる事を疑っています。しかし、今のところ手掛かりはありません。 ※ジョーカー討伐クエストの詳細及びジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 ※松下一郎を聖杯戦争に参加しているマスターだと確信しました。 【松下一郎@悪魔くん 千年王国(全)】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備] なし [道具] なし [所持金] 不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れ、千年王国を完成させる。 1:ザインの宝具である『封印されし半身<セト>』を目覚めさせる。 2:なぜ竜が目覚めた……? 3:ジョーカーの討伐報酬は魅力的に感じています。 4 ルイ・サイファーは何故僕を東京に送り込んだ? 5.ロウヒーローを使徒の一人として迎えたいと思っています。 [備考] ※『封印されし半身<セト>』が反応を示しました。 ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 ※ロウヒーローを聖杯戦争に参加しているマスターと確信しました。 【ライダー(ザイン)@真・女神転生Ⅱ】 [状態] 健康 [装備] テンプルナイトとしての装備 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れ、千年王国を完成させる。 1:自身の宝具である『封印されし半身<セト>』を目覚めさせる。 2:竜の目覚めの兆しを感じ取り、高揚状態。 3:今の自分ではジョーカー討伐は難しいと考えています。 4:ロウヒーローに対して、複雑な感情を抱いています。 [備考] ※『封印されし半身<セト>』が反応を示しました。 ※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。 ※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。 ※ロウヒーローを聖杯戦争に参加しているマスターと確信しました。 BACK NEXT 025 人間(ひと)の手がまだ触れない 投下順 026 025 人間(ひと)の手がまだ触れない 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 024 名前のない怪物(後編) ロウ・ヒーロー&エンジェル(無道刹那) 松下一郎(悪魔くん)&ライダー(ザイン) :
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サーヴァントクラス:モンク 真名:セイロン AA:悠久山安慈(るろうに剣心) 性別:男性 属性:秩序・悪 参戦時のマスター:ウェイバー・ベルベット ステータス: 筋力:A 耐久:A 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:EX スキル: 非暴力の精神:EX 生前から続く苦悩と生き様。 このサーヴァントは自分から戦闘を仕掛ける事は出来ない カラリパヤット:A 古代インド武術。力、才覚のみに頼らない、合理的な思想に基づく武術の始祖。 攻撃より守りに特化している。 防御時 +3コンマ 聖人の遺骨:EX 仏教における仏陀の弟子、阿難陀の遺骨。 これ一つで触媒とも成りうるが、効果としては自身の死の無効化である。 聖杯戦争中四回まで、死亡判定を覆す。 悟りを目指すもの:A 仏教の僧侶として解脱を目指し修行を積んだ生き方。 精神的妨害、視覚的迷彩効果の減少。 心理的・あるいはアサシンの気配遮断の打消し。 菩薩樹の悟り 世の理、人の解答に至ったものだけが纏う守り。 対粛正防御と呼ばれる”世界を守る”証とも。 無条件で物理攻撃、概念攻撃、次元間攻撃のダメージを自身の耐久ランクの数値分、削減する。 精神干渉ならば100%シャットアウト。 宝具:燃えよ我が煩悩、我が苦悩 モンクが生前犯した罪・苦悩。 対界宝具に匹敵する威力の炎を最大で半径十数キロにも及ぶ極炎を召喚する。 戦闘時に+5コンマ